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発達障害ADHDの原因 脳受容体と炎症が関係

2020年6月14日 05時00分 (6月14日 05時04分更新)

◆浜松医大など研究 新薬の開発に期待

 注意の続きにくさや落ち着きのなさを主な症状とする発達障害の一つ、注意欠陥多動性障害(ADHD)。その原因として、神経伝達物質「ドーパミンD1」受容体と脳内の神経炎症が相互に関わっていることが、浜松医科大などの共同研究で明らかになった。現在の治療薬は成長の阻害や心臓や血管への影響など副作用が課題だったが、仕組みが分かったことで飲みやすい新薬の開発につながると期待される。 (細谷真里)
 ADHDは、世界で人口の約5%が診断されるといわれる発達障害。注意の程度などに関係する神経伝達物質「ドーパミン」が関与していることが知られ、脳の神経の炎症が関わっていることも推測されてきたが、人間では具体的に確認されていなかった。
 共同研究では、健常者とADHD当事者それぞれ二十四人の頭部を陽電子放射断層撮影装置(PET)で撮影し、画像を比較。心理検査や症状の評価もして分析した。
 ADHD当事者では、注意や感情などのコントロールに重要な役割を持つ前頭葉の内側部分で、ドーパミンの一種「ドーパミンD1」のうち神経伝達の受け皿の役割を果たす「受容体」部分の機能が低下。計画性などに関わる前頭葉の外側、下側部分で脳の環境を整える細胞「ミクログリア」が活性化して過剰に働き、脳内の神経が炎症していることが分かった。
 ADHDの症状が重いほど、ドーパミンD1受容体の機能が低下し、脳内の神経炎症が進んでいた。ドーパミンD1受容体の機能が低下することでミクログリアが活性化する相関関係も確認できた。
 この研究は、浜松医科大精神医学講座の横倉正倫助教や、同大光尖端医学教育研究センター生体機能イメージング研究室の尾内康臣教授が中心となった。
 横倉助教は「今回相関関係が分かったことで、ドーパミンD1受容体を刺激する薬が開発できれば、ミクログリアの活性化を抑える期待ができる。症状の治療につながる可能性が高い」と説明する。
 研究には、浜松光医学財団、浜松ホトニクス、浜松医療センターも参加。浜松光医学財団のPETを活用した。成果は英医学誌「モレキュラー・サイキアトリー」に掲載された。

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