“巨大位牌”に藩主眠る 大安禅寺千畳敷(福井)

2020年6月13日 05時00分 (6月13日 12時27分更新)

 九頭竜川と日野川の合流地点の左岸谷筋に位置する大安禅寺(福井市田ノ谷町)。一六五八(万治元)年、第四代福井藩主松平光通(みつみち)が大愚宗築(たいぐそうちく)禅師を開山とし、越前松平家の永代菩提(ぼだい)所として建立された臨済宗妙心寺派の禅寺です。境内の建物の多くは空襲や震災の影響をあまり受けることなく江戸時代の建物が良い状態で残されていて、国の重要文化財に指定されています。現在は二〇一八年十一月から二九年まで、十一年かけて行われる「令和の大修理」の真っ最中です。
 越前松平家を祀(まつ)った廟(びょう)所である千畳敷は、寺院の南西側約三百メートルの山中に位置しています。毎年六月に花菖蒲(はなしょうぶ)祭が開催されることで有名な菖蒲園の脇から山道を歩くこと十分ほどです。入り口の石垣を越えると、笏谷石(しゃくだにいし)で造られた柵列が目に入ります。この柵で囲まれた山肌を削り出した平坦(へいたん)面に築かれた廟所が千畳敷です。南西側に同じく笏谷石で造られた門が設けられ、門扉の表面に葵(あおい)の紋、内面に五七桐(ごしちのきり)が浮き彫りされています。
 この門をくぐると、歴代藩主の高さ三メートルを超える巨大な笏谷石製の位牌(いはい)型石塔が、見るものを圧倒します。入って正面に当たる場所に配置されたのが藩祖結城秀康の墓塔です。その左右には七人の歴代藩主と室(しつ)(藩主の妻)の墓塔、殉死した藩士の石碑が立ち並んでいます。廟内の床面には同じ大きさの笏谷石で造られた敷石が千三百六十枚も敷き詰められています。
 現在の福井市街地の礎を築いた歴代の福井藩主は、周囲を杉や檜(ひのき)、福井を代表する笏谷石に囲まれた森厳な廟で眠りについています。この厳かな場所で、歴代福井藩主たちが思い描いた福井の将来像について思いを巡らせてはいかがでしょうか。
 昨年の七月から十二回にわたり、日本遺産「福井・勝山 石がたり」を構成する文化財について、歴史的特色や見どころなどを紹介してきました。改めて、福井・勝山の石の文化の魅力を実感していただけたと思いますが、いかがでしょうか。
 三月に開設した日本遺産の公式ホームページ「福井・勝山 石がたり」(http://nihonisan-ishigatari.jp/)もぜひご覧ください。日本遺産のストーリー紹介のほか、代表的な箇所の美しい動画や写真、現地をたどるお薦めルートなどを掲載しています。
 公式サイトで魅力を十分に味わっていただき、新型コロナウイルス感染拡大や予防に配慮した上で、ぜひ現地を探訪してみてください。(福井市文化振興課主幹・田辺朋宏)
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