名古屋市「貯金」激減 コロナ支援かさみ100億円→3億円

2020年6月13日 05時00分 (6月13日 05時02分更新)
 将来の大規模な支出に備えて積み立てる名古屋市の財政調整基金(財調)が、年度当初(四月)の百億円から、六月時点の推定額で三億二千万円まで激減する見込みになった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援策を積極的に打ち出したことが理由。財調の正当な使い方とも言えるが、あまりの激減ぶりに、感染の第二波や自然災害などへの対応に「余裕がない」とあやぶむ声もある。 (水越直哉)
 市は二〇一〇年、緊急事態に柔軟に対応するために必要な額として百億円を目標値に設定。一一年度からは百億円以上の積立額を維持している。新型コロナの市内感染者発生前である二月十二日に発表された二〇年度当初予算案でも、百億二千万円を計上していた。
 その後、市内で感染が拡大したことなどを受け、四月にはまず、市が休業要請した緑区と南区のデイサービス施設に払う休業補償費として一億七千七百万円を活用した。
 五月にはさらに九十億三千六百万円を取り崩した。うち四十五億円は、医療機関やスーパーなど、愛知県の休業要請から外れた業種で営業を続ける事業者に応援金十万円を支払う取り組みに充てた。さらに休業要請に応じた店舗などへの協力金の対象を拡大したことで二十四億円を計上。市議会六月定例会で提出する予算案でも四億八千九百万円を取り崩す。
 市財政課の担当者は「市内で感染者が多かったこともあり、新型コロナ対策が重要と考えた。こういう時のためにためている側面もあり財調を活用した」と説明。災害が発生した時は「十九億円の災害救助基金などで対応する」としている。今後については「中長期的に決算剰余金などを徐々に積み立て、百億円に戻していきたい」と話している。

政策やめる必要も

 南山大総合政策学部の森徹教授(地方財政論)の話 財政調整基金は財政が良いときに積み立て、悪くなった時に取り崩して財政の安定化を図るもの。新型コロナウイルス対策で使うことはやむを得ない。ただ三億円まで減らすと、激甚災害など想定外のことが起こった時のバッファー(余裕)はなくなる。さらに新型コロナ対策を取る場合は、優先順位の低い政策をやめなければいけない。

交付金や別口基金で対応 中部5県、温存目立つ

 名古屋市以外の中部地方の自治体は、国の交付金や、別口でためた基金を活用し、財政調整基金を温存する姿勢が目立つ。
 岐阜県は、財調を今年四月時点並みの七十六億円で維持。新型コロナ対策では、新庁舎建設のために用意した基金などから対策費を捻出した。担当者は「今後、さらなる税収減が見込まれるため、財調を残す必要がある」と話す。
 財調から一億五千万円を切り崩した三重県は、新型コロナ対策で国の第二次補正予算で配分される臨時交付金の活用を見込む。福井県も同様の方針で、同県の杉本達治知事は「交付金がまもなく入ってくるという前提で予算措置をしている」と強調する。
 愛知県は休業要請の協力金などの対応で百七億円を財調から切り崩したものの、「今後は追加の県債の発行などでコロナ関連の対策をする」(同県担当者)。
 財調を六月に決算する長野県は、三月に決算する他県と単純比較できないが、三月末に五百九億円あった財調から、約十五億円を二〇二〇年度一般会計補正予算に繰り入れるにとどめている。
 名古屋市と同様に財調を大幅に減らしたのが東京都。休業要請に応じた事業者への「感染拡大防止協力金」などを積極的に支出し、都の財調は九千三百四十八億円から四百九十三億円と94・7%減になっている。
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