街中のオアシス養浩館庭園(福井) 石材 庭木に溶け込む

2020年4月11日 05時00分 (6月12日 12時19分更新)
雨にぬれ、色合いを増す庭石=福井市宝永3の養浩館庭園で

雨にぬれ、色合いを増す庭石=福井市宝永3の養浩館庭園で

  • 雨にぬれ、色合いを増す庭石=福井市宝永3の養浩館庭園で

 福井駅からほど近い閑静な住宅街の中に緑に囲まれた空間があります。歴代福井藩主の別邸で国の名勝「養浩館庭園」です。養浩館庭園は第四代藩主・光通(みつみち)の時に別邸としての利用が始まり、歴代藩主が改変を行い、現在のような庭園に落ち着いたと思われます。庭園を彩る木々や庭石などは季節によりさまざまな顔を見せます。今回は日本遺産のテーマに沿って、石にスポットを当てたいと思います。
 まず、笏谷石(しゃくだにいし)。建物の土台や軒丸瓦、庭を周遊するため各所に架けられた石橋、臼ノ御茶屋前に設置された蹲踞(つくばい)(手水(ちょうず)鉢)など、建築資材から庭を演出する使い方まで多種多様にわたって利用されています。
 小亭(小さいあずまや)の「清廉」付近に立ち並ぶ五角柱や六角柱の柱状節理の岩柱は、東尋坊の北東に位置する越前松島から持ち込まれたもので、日本海の荒々しさを感じさせます。
 御月見ノ間の前には、色とりどりの飛び石が配置されています。その中でも薄い層が積み重なって水紋のような模様を持つ石は雄島(坂井市三国町)で採取されたもの。地元では「安島石」と呼ばれる流紋岩で、雨にぬれると美しい紫色を表す石です。同じく飛び石の中にみられるピンクやしま模様の石は敦賀半島で産出する黒雲母花崗岩(かこうがん)です。
 御茶屋建物の対岸の位置には石製の七重層塔があります。福井藩士が書き残した『越藩拾遺録』によると、この七重層塔はもともと勝山市下毛屋にある泰澄大師の母の墓所の伝承地から、七代藩主・吉品(よしのり)が運ばせたもの。現在、実物は鯖江市にあり、鯖江市指定の文化財になっています。
 このように、養浩館庭園には、多種多様な石が庭木、池水や築山に溶け込み独自の景観を作りだしています。また、天候や季節、時間帯によってもその表情を変えます。
 自分好みの景色を探しに、養浩館庭園を訪れてはいかがでしょうか。御茶屋建物の藩主の部屋である御座ノ間からお殿様気分で庭を眺めたり、庭園を散策してみてください。きっと気に入る景色があると思います。
 養浩館庭園は現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため五月六日まで休園中で、状況によっては延長する可能性もあります。ご理解をお願いします。(福井市文化振興課主幹・田辺朋宏)
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 次回は五月九日、勝山市の構成文化財を紹介します。

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