コロナ禍の学校、消毒どこまで 教員の負担に、羽島や日進は業者に委託

2020年6月11日 05時00分 (6月11日 11時14分更新)
次亜塩素酸ナトリウム液を使い、教室ドアの周囲を消毒する女性スタッフ=岐阜県羽島市の福寿小学校で

次亜塩素酸ナトリウム液を使い、教室ドアの周囲を消毒する女性スタッフ=岐阜県羽島市の福寿小学校で

  • 次亜塩素酸ナトリウム液を使い、教室ドアの周囲を消毒する女性スタッフ=岐阜県羽島市の福寿小学校で
 新型コロナウイルス対策で休校していた学校が再開し、教員の仕事に感染予防の消毒作業が加わった。「三密」の回避と休校で遅れた授業の取り戻しに大忙しの教員の負担軽減を図ろうと、消毒を専門業者に委託したり、外部人材に依頼したりと、知恵を絞る自治体もある。
 (福沢英里)
 午前中の授業が終わり、児童が帰った岐阜県羽島市の福寿小学校。専門業者から派遣された女性スタッフが、次亜塩素酸ナトリウム液を使い、教室の扉を消毒していた。
 一日から十二日までの分散登校の間、同市教育委員会は校内消毒の一部を業者に委託。市立小中学校(義務教育学校含む)と幼稚園の計十四校に、一〜二人ずつ補助員として派遣し、一時間程度の作業をしてもらっている。
 教室内の消毒は担任が行い、出入り口の引き戸の取っ手や階段の手すりなど、共用部分は業者が担当。女性スタッフは「子どもたちが触れるドアの表面など、全体的に拭いている」と念入りだ。
 横山政司校長は「分散登校の間も、教員は家庭との連絡や授業準備に追われており、一人でも消毒作業に入ってもらうだけで助かる」と再開直後の慌ただしさを心配する。
 感染予防と学びの保障を掲げる同市教委。どうバランスを取るかは悩ましい。山田健司・学校教育課長は「児童がいる間は三密回避に気を配り、下校後は消毒となると教員の負担が大きい」と話す。
 愛知県日進市教委も一学期の間、共用スペースの消毒作業を業者に委託した。一人で三校ずつ受け持ってもらう一方、保護者の消毒ボランティアを募る学校もあるという。
 政令市レベルでは、福岡市が七月、消毒専門の担当職員を雇い、すべての市立学校に配置する。
 校内の外部人材に依頼する自治体もある。三重県東員町教委は、学習支援員を活用。昨年度まで、特別な配慮を必要とする児童や生徒の学習支援や介助などのために雇用してきたが、教員の働き方改革で残業時間を減らすため、本年度から校務支援全般へと役割を広げたところだった。
 学校教育課の担当者は「休校中の緊急受け入れ時は支援員が児童の対応を行い、教員は課題作成や教材研究に専念できた。今後も協力してやっていけたら」と期待する。
 ただ、文部科学省や自治体のガイドラインでは、教職員が消毒作業を担うことが前提で、多くの学校で教員に任されている。
 感染症指定医療機関、公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の武藤義和・感染症内科主任部長は「各学校の状況に応じた実現可能なレベルの対策で十分。消毒の回数より、子どもたちが校内の物に触った後、しっかり手を洗う習慣をつけることが大事」と強調する。

扱い注意 次亜塩素酸ナトリウムは布に浸して拭いて

 消毒薬として使われる次亜塩素酸ナトリウム。文科省は四日、学校の消毒方法について通知を出し、健康被害の恐れがあるとして、取り扱いへの注意を呼びかけた。
 通知では、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性が高いため、扱う際は手袋の着用を義務づけている。物や場所に吹き付けたり、空間に噴霧したりすると目や皮膚に悪影響を及ぼす恐れがあるため、「絶対に行わないでください」と明記。「消毒液を浸した布巾やペーパータオルで拭く」と具体的な方法が記された。
 混同しやすい「次亜塩素酸水」については、「新型コロナウイルスに対する有効性は十分確認されていない」として、学校で使う消毒薬には含めなかった。
 岐阜県白川町は一時、次亜塩素酸水の自動噴霧器の設置を検討したが、通知で「児童生徒がいる空間で使用しない」とされたことから、購入を見送った。
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