石川県、指針策定に遅れ 避難所のコロナ対策 中部9県で唯一  

2020年6月10日 05時00分 (6月10日 12時46分更新)

市町から求める声 


 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中部九県(石川、富山、福井、愛知、岐阜、三重、長野、滋賀、静岡)で石川を除く八県が、地震や豪雨などの災害発生時に多くの人が集まる避難所について感染予防策を盛り込んだ運営ガイドライン(指針)を作成、または作成中であることが分かった。避難所運営を担う石川県内の市町からは県の指針を求める声が上がっている。(押川恵理子、寺田結)
 内閣府などは避難所での過密防止や宿泊施設を活用した避難所の拡充などの対策を、都道府県に四月中に計三回通知。水害が増える梅雨入りを前に、富山や福井など五県は五月中に指針を作り終えた。愛知、滋賀両県は今月前半までに、静岡県は市町の意見を反映させて七月上旬までに完成予定。
 石川は対応が遅れており、担当者は八日時点で「国に具体的な指針を作るよう求めている。指針は他県の状況を調査中」と説明した。県の指針を踏まえて避難所の運営マニュアルを作る県内の市町からは「岐阜県と福岡県の指針を参考にしている」(七尾市、志賀町)、「地域の実情に合わせた県独自の指針が必要」(宝達志水町)などの声が上がっている。
 岐阜県はいち早く五月初旬に従来の指針に新型コロナに特化した対策編を加えた。避難者を受け入れる前に健康状態を調べ、発熱など体調不良の人を隔離するなど具体的な対策をチェックリストにまとめた。
 福井県の担当者は「マニュアルを修正したり、手付かずだったりと十七市町の対応が分かれ、統一的な手引が必要と考えた。市町の境を越えてクラスター(感染者集団)が発生する恐れもある」と感染症対策の重要性を強調。市町の担当者向けの研修会もテレビ会議方式で開いた。
 愛知県は四月初めに県の考え方を市町村に示したほか、避難所でのスペースの確保状況や、保健所との連絡態勢など対策の進み具合もアンケートで把握。市町村の要望を受け、指針も作ることにした。担当者は「国が指針を示してくれたらいいが、現状はないため、他県も都道府県レベルの暫定版として示しているのでは」と話した。
 指針に加え、三重、静岡両県は感染予防に必要な備蓄品を買う市町向けの補助制度を創設。富山県は段ボールベッドや消毒液、マスクを避難所に送る。長野県は避難に適した宿泊施設を地図上で検索できる全国初のシステムを開発。マイカーでの避難が増えるとみて、駐車可能な避難所を一覧できるマップも用意している。

高い専門性 都道府県率先を


 永田尚三・関西大教授(危機管理行政)の話 災害対応はこれまでは国と市町村が中心で、都道府県の影は薄く国からの指示待ちの姿勢がみられた。新型コロナウイルス感染症は、国と都道府県が中心的に対策を担う方向性が特措法で打ち出されている。感染症対策は専門性が高く、市町村の規模によっては対応が難しいからだ。近年、台風による大きな被害が相次ぐ。コロナ禍での避難所運営は深刻な問題。本来は国が何らかのガイドラインを示すべきだが、国の動きが遅れている以上は都道府県が率先して対応するべきだ。

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