県内一番茶生産 1万トン割れ公算

2020年6月9日 05時00分 (6月9日 05時04分更新)
 静岡県産一番茶の取引が八日、ほぼ終了した。生産量は生産期別データを取り始めた一九五三年以降で最低だった前年の一万一千トンをさらに15%程度下回り、初めて一万トンを割る公算が大きい。一キロ当たり平均単価も前年に届かず、平成以降の最安値を三年連続で更新する見込み。
 四月の低温、少雨で芽伸びが鈍く、生育は平年よりやや遅れた。みる芽(若い芽)のうちに刈り進めたこともあって減産となり、冷え込みで一部茶園は凍霜害に見舞われた。
 新型コロナウイルスの感染拡大と重なり、取引場では売り手、買い手がビニール手袋を着け、入場者数も制限した。茶商にとっては「仕入れても売れるのか」と不安が先立った。
 「この時期でないと入手できない特定工場の品」(茶商)は売れたが、新茶商戦は縮小された。贈答向けなど上級品の需要は少なく、取引価格は序盤から前年をやや下回った。
 通信販売やスーパーでの売り上げは伸びたが、葬儀の返礼や土産向けは落ち込んだ。首都圏に直売店があり、通信販売もする長峰製茶(焼津市)の多々良高行社長(48)は「自粛ムードの中、初物を楽しむ雰囲気になりにくかった。普段飲みのお茶の購入は店売り、通販とも堅調だった」と話した。 (松本利幸)

 <一番茶> 4、5月に伸びてくるその年最初の新芽を摘んで作るお茶。春から秋にかけて3、4回摘む中でうま味成分が最も多く良質。年間生産量の4割を占め、価格は最も高い。夏の二番茶価格の目安になるなど、年間の価格に響く。静岡県内の茶農家の売り上げの約7割を占める。


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