葬儀簡素化風潮いいの? 宗派超え議論、発信 僧侶や門徒 地域社会崩壊憂える声も

2020年6月8日 05時00分 (6月8日 09時37分更新)
コロナ禍で簡素化が進む葬儀について話し合う僧侶たち=越前市の金剛院で

コロナ禍で簡素化が進む葬儀について話し合う僧侶たち=越前市の金剛院で

  • コロナ禍で簡素化が進む葬儀について話し合う僧侶たち=越前市の金剛院で

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に県内でも葬儀の簡素化が加速していることを受け、超宗派の僧侶たちが葬儀の在り方を話し合う集いを開いている。僧侶らは「本当に故人をしのびたい人が集まれる葬儀にするにはどうしたらよいか。施主に寄り添い考えていけたら」と思いを巡らせている。 (藤共生)
 五月末。越前市の曹洞宗金剛院には曹洞宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派の三宗派から十二人の僧侶や門徒が集まった。主催したのは県内の超宗派の僧侶有志でつくる「TERRAねっと福井」。輪の中央には鯖江市のコミュニティFM「たんなん夢レディオ」が用意したマイクが置かれ、話し合いの様子は七日、同局の番組で放送された。十三日も午後六時から再放送する予定。
 金剛院の諏訪大明住職は「コロナ禍で葬儀の簡素化が定着するはず。葬儀には人間のつながりを深める大事な意味合いがある。これで良いのだろうかと思った」と集会の趣旨を説明。各人が意見を述べていった。
 曹洞宗龍澤寺(あわら市)の瀬戸弘湧住職は「一番心配するのは地域社会の崩壊だ」と指摘する。「隣近所との付き合いがうっとうしいからと縮小していくと、相談相手がいなくなる。いなくなると頼るのは行政。行政がなんとかしてくれるという考えがまん延するのはまずい」と危機感を示した。
 真宗大谷派専光寺(鯖江市)の佐々本尚住職は「小規模化は仕方ない」と考える。「お通夜の席で心ない言葉を発する人もいる。そのことに辟易(へきえき)すると話す人もいた。だから小規模にしたいと思う人が増えていったのではないか。地域社会にきちんと故人を見送ろうという意識がなくなったのかもしれない」と推察した。
 曹洞宗のある住職は「家族葬という言葉は、家族以外は行きにくい雰囲気がある。それは田舎に住む者にとっては水くさいというか、違和感がある」と率直な感想を述べた。その一方で「あくまで葬儀のやり方を決めるのは施主家。こちらの考えを押しつけるのは慎むべきで、板挟みの状況」と戸惑いを口にした。
 佐々本住職は「自分の親の葬儀だから、すべて自分が決められるというのは少し傲慢(ごうまん)な気がする。人はたくさんの人と関わって生きる。誰が故人の死に目を送りたいかは分からない。葬儀を閉ざしてしまうのは問題があるのでは」と疑問を呈していた。
 僧侶らは今後も話し合いを重ねて、社会に発信していきたいとしている。問い合わせは同団体ホームページ(「TERRAねっと福井」で検索)で。

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