世界最古のマラソン大会がプレスリリースの文言で示した『誇り』 バーチャルレースでも…発表は「中止」ではなく「事実上の開催」

2020年6月5日 18時40分

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昨年4月のボストン・マラソン(AP)

昨年4月のボストン・マラソン(AP)

  • 昨年4月のボストン・マラソン(AP)
 何としても大会の歴史は途絶えさすまいという、世界最古のマラソン大会の気概を見た。5月29日早朝にボストン・マラソンのメディア担当者から送られてきたメール。その題名は「124th Boston Marathon to be Held Virtually」とあり、書き出しは「124th Boston Marathon will be held as a virtual event」と記されていた。
 直訳すれば「第124回ボストン・マラソンは事実上開催される」「第124回ボストン・マラソンは仮想イベントとして行われる」である。もちろん「事実上」と銘打っていることからも明らかなように、また既報の通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で当初の4月から9月に延期されていたボストン・マラソンは通常の開催を断念し、エントリー済みのランナーが定められた期間内に6時間以内で42・195キロ(主催者は26・2マイルと表記する)を完走すればメダルなどを贈る「バーチャル・マラソン」となった。普通に見れば「中止」である。だが題名や書き出しが最も伝えたいこと-というセオリーに倣うなら、主催者はあくまでも「中止」よりも「124回大会を開催」という表現、位置付けにこだわった。
 新型コロナウイルスが猛威を振るって以降、さまざまな大会の延期、中止の報に接した。そのどれもが「【中止】〇〇(大会名)」「〇〇の中止について」などの表記だった。いい悪いではないし、日本がこうで欧米がどうというつもりもない。ただ、米国が主戦場ではなかったとはいえ2度の大戦、世界恐慌、爆弾テロ事件を経ても途切れることなくつながれてきた歴史とプライドを思わずにはいられない。
 歴史ある大会だからこそ、走りたくても走れない選手の気持ちがバーチャル・マラソンの形で満たされることはないだろう。それでも来年こそは、マラソン、スポーツがこの世にある限り―。期待と確信を持ち、その日を待ちたい。(川村庸介)
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