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無観客でも思いは伝わる 選手はコロナ対策の徹底を…何よりも大事なのは自覚だ【月刊ラモス】

2020年6月1日 15時43分

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Jリーグ第2S 川崎-横浜F 後半9分、川崎・ラモス瑠偉が先制ゴールを決め歓喜のガッツポーズ 左は北沢豪=93年11月、等々力で

Jリーグ第2S 川崎-横浜F 後半9分、川崎・ラモス瑠偉が先制ゴールを決め歓喜のガッツポーズ 左は北沢豪=93年11月、等々力で

  • Jリーグ第2S 川崎-横浜F 後半9分、川崎・ラモス瑠偉が先制ゴールを決め歓喜のガッツポーズ 左は北沢豪=93年11月、等々力で
  • 清水-FC東京 マスクをつけ試合を観戦するサポーター=2月、アイスタで
 待ちに待ったJリーグの再開とプロ野球の開幕が決まった。プロ野球は6月19日に開幕、JリーグもJ1が7月4日に再開、J2、J3が6月27日に再開、開幕することが決まった。いずれも無観客での開幕、再開だが、「月刊ラモス」のラモス瑠偉編集長(63)は「無観客であることが試合の質に影響を与えるようなことは、絶対にあってはならない。スタンドは無人でも、必ず思いは伝わる」と選手たちの奮起を期待した。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言は解除されたが、見えない敵との戦いが終わったわけではない。サポーターと笑顔の再会を果たすためにも、日本のプロスポーツ界が勝負の時を迎える。
 サポーターの皆さん、待ちに待った日がやってまいります。まずは6月19日、プロ野球が開幕し、続いてJリーグも再開。いずれも無観客での開催で、まだサポーターの皆さんと再会することはできないが、それでも大きな大きな一歩を踏み出すことになる。これから先、どうなっていくのか不安な日々を過ごした選手も大変だったと思うが、我慢に我慢を重ねたサポーターの皆さんも、さぞ大変な思いをされていたことだろう。
 新型コロナウイルスの第2波を心配する声もあるが、どこかで動き始めないと次のステップには進めない。Jクラブもプロ野球球団もこのままではつぶれるのを待つだけ。生き残るために、ぎりぎりのところまで来ている。
 一方で、無観客で本当に盛り上がるのかという不安の声もある。確かに、スタンドから降り注ぐサポーターの大声援は、選手に大きなエネルギーをもたらす。静かなスタジアムで戦うとなると、戸惑いは隠せないかもしれない。
 しかし、プロならば、無観客だから力が出ないなどという甘えは許されない。スタンドにお客さんがいなくても、TV放送を、ネット中継を、新聞報道を、スポーツニュースを楽しみにしている人は何十万、何百万人といる。待っている人のために、プロとしてのプライドを懸け、全力でプレーし、魅了する。必死に戦う姿で、多くの人を感動させ、勇気づける。
 こんなご時世に、ピッチの上でプレーできるだけでも幸せなことだ。だからこそ感謝の気持ちを込めて、戦う。それがプロとしての責任であり、使命だ。
 今から43年前、まだ20歳だった私は、お金を稼ぐために日本にやってきた。ブラジルで暮らす家族の生活を楽にしたい。その一心で地球の真裏の、読売クラブ(現東京V)に移籍した。不安で不安で、飛行機の中でずっと泣いていたことを覚えている。
 当時の日本サッカーリーグはプロ化されておらず、選手はアマチュア。お客さんも全然入っておらず、スタンドはガラガラ。秋には虫の声が聞こえてくるような試合もあった。とにかくスタジアムにお客さんを呼びたかった。だから必死だった。一生懸命プレーして、全力で戦う。その姿にいろいろな人が共感してくれた。
 1993年5月15日、国立競技場、ヴェルディ川崎(現東京V)―横浜マリノスの一戦でJリーグは華やかに開幕したが、そこに至るまでには多くの人たちの、情熱の積み重ねがあった。その熱い思いが、サッカーに興味がなかった人たちにも通じ、一大ムーブメントとなった。
 例えスタンドにお客さんがいなくても、必死な思いは必ず伝わる。絶対にいないとは思うが、もし、無観客だからとダラダラしたプレーを見せる選手がいたとしたら、私は絶対に許さない。そんな試合をしていたら、あっという間にファンに見放されてしまうだろう。
 今でこそW杯出場が当たり前になり、多くの選手が海外のクラブに移籍するようになった。しかし、誰も予期しなかったコロナ禍に突然見舞われ、Jリーグも今、危機的状況にひんしている。再び満員のスタジアムで試合ができるようになるまで何カ月、何年かかるか分からない。重要なリスタート。復活の鍵を握るのは選手の覚悟だ。
 私の祖国ブラジルは新型コロナウイルス感染者が43万人を突破し、米国に次いで世界で2番目、死者は2万6000人を超えた。ボルソナロ大統領は開き直っているし、政府もバラバラ。絶望的な気持ちになってしまう。世界の情勢を見れば、本当に日本、日本人はすごいと思う。
 しかし、一歩間違えれば、この先どうなるか分からない。一度は収まったかに見えた札幌市で感染が拡大したし、今は北九州市で再び感染者の数が増えている。韓国でもソウル郊外の物流センターで69人の集団感染が確認され、東京の病院でも集団感染が発生した可能性があるという。29日の東京都の感染者数は22人で、今月14日以来の20人超えとなった。
 私自身、若いころに肺炎を患ったことがあるし、2016年には脳梗塞で倒れた経験があるので、余計に怖い。だからもう少し落ち着くまで、“自粛”を続けようと思っている。
 緊急事態宣言は解除されたが、予断を許さない状況だ。Jリーグが再会、プロ野球が開幕したとしても、選手が一人でも感染してしまえば、これまでの努力は水泡に帰す。
 クラブもリーグも、万全の対策を講じなければならないし、何よりも大事なのは選手の自覚だ。夜、羽目を外すなんてもってのほか。自己管理をしっかりして、リスクを徹底的に排除する。みんなの力を結集し、Jリーグ、プロ野球、全てのスポーツを必ず復活させる。ニッポンの底力を見せるときがきた。(元日本代表)

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