【石川】「手は目」不安の日々 視覚障害者に感染リスク

2020年6月1日 05時00分 (6月1日 10時07分更新)
感染の心配をしながら、地下道からの階段で手すりに触れる林孝子さん(左)と夫の佳伸さん=金沢市香林坊で(西浦幸秀撮影)

感染の心配をしながら、地下道からの階段で手すりに触れる林孝子さん(左)と夫の佳伸さん=金沢市香林坊で(西浦幸秀撮影)

  • 感染の心配をしながら、地下道からの階段で手すりに触れる林孝子さん(左)と夫の佳伸さん=金沢市香林坊で(西浦幸秀撮影)

鍼灸師ら「仕事に影響も」 県内 切実な声


 新型コロナウイルスの脅威が消えない中、人や物に触れて行動せざるを得ない視覚障害者たちが、「接触」に伴う感染リスクへの不安やストレスを募らせている。なりわいに多い鍼灸(しんきゅう)師やマッサージ師の仕事は、接触を避ける生活様式の広がりから減少。「これが続くとしんどい」と、切実な声が漏れる。(高橋雪花)
 「誰が触ったか分からんな」。金沢市内の地下道で階段を下りようと、手すりをつかんだとき、視覚障害がある林佳伸(よしのぶ)さん(72)=同市矢木=がつぶやいた。手すりは足元の安全を確保する「命綱」。だが、つかみながら感染しないかと心理的負担がつきまとうようになった。
 妻の孝子さん(72)はほぼ全盲で、二人暮らし。二人は物の位置や有無、形を確かめるため、触ることが多い。「私らにとって手は目やね」と孝子さん。そして「接触しないということは、計り知れないほど大変なこと」と健常者には見えにくい苦労を語る。
 新型コロナが流行してから外出を減らし、買い物などに行くのは週一回ほど。歩く際は、ガイドヘルパーの肘を持って先導してもらうが、佳伸さんは「それでも触れることにお互い不安があるんです」と明かす。
 二人はよく物に触れる分、手洗いや消毒に気を付けるようになった。「でもとても追いつかない。これが一、二年続くと思うと、私らは余計にしんどいね」とため息をつく。
 視覚障害者への影響は仕事にも出ている。金沢市内で鍼灸院を営む男性院長(73)によると、体を触って脈や硬さ、くぼみから調子の悪い部分を探るため、接触は避けられない。かといって手袋をつけると、「感覚が分からなくなり、全然だめ」なのだという。
 鍼灸院を訪れる人は三月半ばから三割ほど減っている。「これで生計を立てている人は困っているはず」と院長。鍼灸やマッサージは石川県による休業要請の対象外だったので、協力金が支給されない。
 「県内の温泉地のホテルに訪問してマッサージをしている知人からは、客が来なかったりホテルが休業したりして苦しい状況だと聞いている」と話した。

関連キーワード

PR情報