バドミントン遠藤、渡辺、東野が向き合ってきた『おうち時間』 五輪メダル候補らチーム練習いよいよ再開へ

2020年5月31日 21時42分

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渡辺は男子ダブルスでは遠藤(左)とペアを組む(2019年撮影)

遠藤33歳「ちょっと間に合わなかった」


 3月の全英オープン優勝など、東京五輪出場が有力視されているバドミントン男子ダブルスの遠藤大由(33)、渡辺勇大(22)組、その渡辺との混合ダブルスで五輪出場が確実な東野有紗(23)=いずれも日本ユニシス=が、本紙の電話取材に応じた。新型コロナウイルスの影響で東京に練習拠点を置くチームは体育館が使えず、2カ月以上パートナーと離れた中で、競技とどう向き合っていたのか。チーム練習再開を6月1日に控える五輪メダル候補たちの“おうち時間”を聞いた。
 4歳と2歳の男児の父でもある遠藤。自宅で体幹などを鍛えているが、保育園が休園中のため子どもたちは常に一緒にいる。「ジムなどより集中できませんし、子供たちもちょっかいを出しにきます。で、一緒になって遊んじゃう」と苦笑い。「仮面ライダーごっこでは悪役をやってます」。遠征と合宿の連続で得られなかった家族の時間を、楽しんでいるようだ。
 日々、自身や他の選手の過去の試合映像を見て、プレーを見つめ直している。「思ったよりできていない面があって。もう少し相手を見て配球したり、ゲームメークできるようになりたい」
 遠藤にとって1年の五輪延期はプラスだ。「普通に開催されたら、ちょっと間に合わないと思っていた。もう1ランク上げないと、とても優勝できない」。初制覇した全英OP決勝で、思うようなプレーができなかった。「ああいう大舞台でスキルが下がってしまった。やっぱりオリンピック、そして地元となると、気持ちの方でも難しくなってくると思うから」。だから時間が必要だった。
 34歳で迎える集大成の五輪。体力の衰えや反応の遅れは認めるが、年齢を言い訳にはしない。「何歳だからきつくなったとか言えば、たぶん楽なんでしょうけれど。性格上、言ったら終わりそうな気がして、僕は」。家では悪役を演ずるベテランが、コートの上ではきっとヒーローになる。
 ▼遠藤大由(えんどう・ひろゆき) 1986(昭和61)年12月16日生まれ、埼玉県川口市出身の33歳。172センチ、72キロ。右利き。埼玉・里中、小松原(現叡明)高、日体大を経て2009年から日本ユニシス所属。男子ダブルスで早川賢一と組み、15年世界選手権3位、16年リオデジャネイロ五輪5位。同五輪後に渡辺と組む。
 ●遠藤から渡辺へ「しっかりやっていると思うので、別にないですね(笑)」

渡辺「僕にとって大事な期間でした」


 ユーチューブチャンネルを開設、自分でプレー内容を実況しながらマリオカートをする動画をアップしたり、ツイッターで毎朝の寝癖の状態を写真で報告したり…。外出自粛生活中、SNSを駆使してファンとの交流を始めた渡辺は「意外と喜んでくれる人が多いんだ、という新しい発見もあって。応援してくれる人がいるのは、すごいありがたい。僕にとって大事な期間でした」と力を込める。
 もともとバドミントンの価値を高めたい、との思いが強く、時間に余裕のある今だからこそ新しいことに挑んだ。「少しでも暇つぶしや、クスって笑ってもらえたら」。そう思い立って始めたSNS。自分が楽しもうとやっていたものが、いつしか一人暮らしの渡辺にとって孤独な“おうち時間”を耐え抜くための心の支えにもなっていた。
 「一人では頑張り切れないから。僕に力をくださいっていう意味合いの方が強かったかも。僕、自分に甘いので、人に助けてもらわないと(笑)」
 ファンの声がより身近となり、声援を受け続けた2カ月だった。「この期間を過ごせたことが、1年後の東京オリンピックに、確実にいい働きをしてくれる」と確信を込める。「さらに自分自身が強くなるチャンスを与えてくれた。圧倒的な強さを見せられる1年後になっていれば」。11歳上の遠藤、中学時代からペアを組む東野とともに2種目制覇を誓う。
 ▼渡辺勇大(わたなべ・ゆうた) 1997(平成9)年6月13日生まれ、東京都杉並区出身の22歳。167センチ、57キロ。左利き。福島・富岡一中、富岡高を経て2016年から日本ユニシス所属。東野との混合ダブルスは19年世界選手権3位、同年ワールドツアーファイナル3位。男子ダブルスは20年全英オープン優勝。
 ●渡辺から2人へ「早く一緒にバドミントンがしたいな、という気持ちが常にあります」

混合ダブルス準々決勝 マレーシアペアに勝利した渡辺(右)、東野組=2019年8月23日、バーゼルで

東野、震災避難を経験し「前向きにやっていけている」


 毎日、何か新しいことをする。東野はそうテーマを決めて、外出自粛生活を過ごしてきた。エアロバイクを購入してトレーニングに導入したり、料理や断捨離に挑戦してみたり。外でシャトルを打つときも独自ルールを考えたりもした。
 「自粛生活はストレスがたまりがち。楽しいことをどんどん見つけて、取り組もうとしていました。得意料理はビーフストロガノフと言えるよう、練習します」
 挑戦の日々を支えてくれたのは、地元・北海道を離れて福島で過ごした中学、高校時代から一緒に暮らす、母・洋美さん(57)だ。料理や家事を教わり、シャトル打ちにも付き合ってくれた。「ストレスがたまらないよう、楽しくやってくれました。一緒にいなかったら、私、うつになっていたかも…。引きこもり生活になっていたかもしれない」と、言葉に感謝の気持ちを込める。
 中学時代、東日本大震災で一時、地元・北海道に避難した経験がある。当時も部での練習再開の見通しが立たず、不安な思いをした。「そのときの経験があって、前向きにやっていけている。自分を見つめ直す時間というのができて。またバドミントンにしっかり打ち込めるんじゃないかな」
 一人暮らしの渡辺を心配する気持ちもある。「でも、勇大君は私よりしっかりしているので、大丈夫だろうと思っています」。100%の信頼を寄せるパートナーとともに、東京の大舞台へ挑む。
 ▼東野有紗(ひがしの・ありさ) 1996(平成8)年8月1日生まれ、北海道岩見沢市出身の23歳。160センチ、54キロ。右利き。福島・富岡一中、富岡高を経て2015年から日本ユニシス所属。混合で渡辺と中学時代からペアを組み、17年から全日本総合選手権3連覇。18年全英オープンを混合では日本勢初制覇。21年東京五輪出場を確実にしている。
 ●東野から渡辺へ「私はいつも勇大君のことを考えて、夜も眠れないです」

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