小児がん語り合う場を 県内に自助団体設立模索 経験者や支援団体

2020年5月30日 05時00分 (5月30日 13時30分更新)
「小児がん経験者が集まることができる機会を提供したい」と話す坪田さん=福井市内で

「小児がん経験者が集まることができる機会を提供したい」と話す坪田さん=福井市内で

  • 「小児がん経験者が集まることができる機会を提供したい」と話す坪田さん=福井市内で

 県内で毎年二十人ほどが発症する小児がん。治療後も身体への影響が続いたり、進学の悩みを抱えたりする人が少なくないが、県内には小児がん経験者本人でつくる自助団体がない。経験者や支援団体からは「経験者同士で体験や悩みを語り合える場が欲しい」との声が上がっている。 (波多野智月)
 小児がんは、子ども(ゼロ〜十四歳)がかかるさまざまながんの総称。主な小児がんとしては、白血病、脳腫瘍、神経芽腫(がしゅ)、リンパ腫などがある。
 県内に住む女性は十代に小児がんと診断され治療を受けた。がんの影響で二十代半ばごろから肺炎を繰り返すようになり、三十代になった今も呼吸器障害などの治療を続けている。
 十五年ほど前、支援団体「がんの子どもを守る会福井支部」が設立され、相談できる場を求めて、支部が開く交流会に顔を出した。「完治したと思っている両親や周りの人に相談して、不安にさせたくなかった」。しかし、出席者は患者の家族がほとんどで、患者本人と話す機会にはなかなか巡り合えなかった。
 つながりを求め、十代半ば〜三十代の「AYA世代」のがん患者向けの催しにも参加した。集まったのは二十〜三十代でがんを発症した人たち。健康問題やがん治療と仕事の両立など共感する悩みは多かったが「溝」も感じた。学校に通えず勉強が遅れたり友達ができなかったりしたことなど小児がん特有の悩みは話題に上らなかった。
 県内ではAYA世代のがん患者が集う場は増えている。県は二〇一八年から、AYA世代の患者が仕事や結婚などの悩みを相談するサロンを年に数回開催。県立病院(福井市)も同年から年二回開いている。一方、女性のように幼少期に小児がんを経験した成人が気軽に足を運べる場は今のところ存在しないという。
 守る会福井支部の坪田起久恵さんによると、十年ほど前に一部の会員で「いこっさ」という自助団体を設立する動きがあった。実際に何度か経験者同士で交流会も行われたが、多忙などが原因で集まる機会は減り、現在は活動を休止している。
 坪田さんは「今はインターネットで情報を集められるし、人前に出たくない控えめな県民性も影響しているのかも」と考えるが、「対面でのつながりを求めている人はいる。なんとか集まる機会を提供したい」と設立を模索している。
 AYA世代 思春期や若い成人を指す英略語で、がんなどの治療の際の用語。AYA世代は治療が進学、就労、結婚などの節目と重なるため、支援充実が近年求められている。

関連キーワード

PR情報

福井発の最新ニュース

記事一覧