【のとじま水族館だより】休館中に見せたイルカたちの素顔

2020年5月29日 05時00分 (5月29日 10時17分更新)
ボールでイルカと触れ合う釘宮ひなたさん

ボールでイルカと触れ合う釘宮ひなたさん

  • ボールでイルカと触れ合う釘宮ひなたさん
  • 向けられたカメラに興味を示すイルカ=いずれも七尾市能登島曲町ののとじま水族館で

ボール遊びで個性発見 まじまじと人観察も


 水しぶきを上げ、青空に向かってジャンプ。尾びれを使って、高速で泳ぐ。のとじま水族館(七尾市能登島曲町)の人気者、イルカ。ショーの姿はおなじみだが、長期休館中(四月十一日〜五月十七日)にのぞかせた一面が、職員の間で話題になっている。
 休館中の五月中旬。ショーをするイルカ四頭が泳ぐプールを前に、飼育員はふと、気になった。「大量のボールを投げ込んだら、イルカたちは、どんな反応をするのだろうか」。日々のトレーニングで使うボールだが、一気に多くを投入したことはなかった。
 「それ!」。飼育員がプールに放った十個ほどのボール。すると口先に乗せたり、ドリブルしてみたり。三頭が楽しそうに遊ぶ一方、最年長の雄「グリム」は見向きもしなかったという。「おとなしくて、マイペースなんですよ」。飼育員の釘宮ひなたさん(21)は、グリムに笑顔を向ける。
 四頭の性格はさまざま。やんちゃな個体もいれば、遊んでほしさをしきりにアピールする“甘えん坊”も。釘宮さんは、バスケットボールを手に語る。「イルカたちのボールへの反応は、意外にも薄かったが、こんな遊びをするんだという発見があった。休館中は普段と違う様子も見られた」
 三十七日間に及んだ休館。来館者を久しく見なかった影響なのか、普段はショーをしないイルカたちにも、変化が表れている。
 長さ二十二メートルの国内最大級のトンネル水槽「イルカたちの楽園」。営業再開を目前に控えた五月中旬、報道陣が取材で訪れると、伸びやかに泳いでいたイルカが、ガラス面に寄り、ぴたりと動きを止めた。倒立し、じーっと外を眺め、向けられたカメラに応えるように口を開けた。
 「しばらくお客さんがいなかったからなのか、水槽周りに人が来ると、イルカも気になるのだろう」。職員の高橋勲さん(46)はそう推測する。開館前に水槽の見回りに訪れた職員にも、反応は同じ。イルカは、水槽のへりに寄り、じーっと職員を見詰めるという。
 「人が生きものを見るように、イルカも水中から人間観察してるんですよ」と高橋さん。前代未聞の長期休館は、水族館の生きものたちにとっても異例の体験となったようだ。(稲垣達成)

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