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コロナ後の地域医療構想は 浜松医大病院の小林医師に聞く

2020年5月29日 05時00分 (5月29日 09時57分更新)

◆感染症対応 考慮を

地域医療を語る小林利彦・浜松医科大医療福祉支援センター長・県医師会理事=静岡市葵区で

 高齢化や人口減少を見込んで全国的に病床数を減らす「地域医療構想」が、新型コロナウイルス感染症の影響で、達成が遅れる可能性が指摘されている。県は六月、二〇二〇年度最初の構想調整会議を書面で開催する予定。県の「地域医療構想」の策定を手掛けた小林利彦・浜松医大病院医療福祉支援センター長・県医師会理事(63)に、今後の見通しを聞いた。
 −構想では、二〇二五年に県内のベッド数を三万一千から二万六千まで減らす
 県内では約三万一千床が認可されているが、看護師が配置され、実際に動いているのは二万九千程度。実質的な約三千の削減のうち、千五百から二千は介護医療院(要介護者向けの介護施設)への転換が見込まれる。民間や中小(病院)はコロナによる受診抑制で大打撃を受けると思う。経営を考え、ベッド数はおのずと減っていく可能性がある。
 −減少で良いのか
 感染症の発生時に使えるよう、危機管理としては柔軟な仕組みが必要。保険診療のベッド数は減らすが、建物は残しておいて、民間に貸したり、訪問看護ステーションや介護サービスを入れてお金を生むようにすればいい。危機時にはベッドを再び置けるように、バッファ(空間的なゆとり)を用意するといい。構想を止めたり、ベッド数を増やす必要はない。
 −新型コロナの第一波では、ベッド不足も懸念された
 各地域にベッドが空いている病院はある。ただ特に民間の場合、医療従事者が他病院に行けないという問題がある。本来は一地域が一つの病院と考え、地域単位で医師が動けるようになれば、コロナにも対応できる。地域単位で医療器材や薬剤の共同購入をすれば効率も上がる。
 −厚生労働省は昨年、再編統合が必要な病院名を公表した。県内では十三病院が該当する
 今年九月が(各病院の再編統合の検討結果の)最終回答期限だが、コロナの影響で延びるかもしれない。コロナの影響を踏まえた病院の実態調査をすることが大事だ。県の保健医療計画にも、感染症対応を加えた方がいい。
(聞き手・大杉はるか)
 
 <地域医療構想> 全都道府県が策定し、県も2016年3月にまとめた。団塊世代が75歳になる25年の人口や年齢構成から必要になる病床数を、4段階の医療機能ごとに推計。県内を8地域に分け、医療機能の効率的な配置や、病院同士の連携が盛り込まれた。構想では、19年度の県内病床数3万1428床を25年には2万6584床に減らす。高齢化が進むと救命救急や集中治療などの「高度急性期機能」より、リハビリなどの「回復期」や重度障害者向けなどの「慢性期」のニーズの方が高まると言われる。
 厚生労働省は19年9月、構想を促進する目的で、再編統合が必要な医療機関名を公表。県内では13機関が該当したが、「地域の実情を無視している」といった批判が出た。
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