中日文化賞 劇作家 北村想氏

2020年5月3日 11時13分 (5月28日 11時14分更新)

名古屋を拠点に現代演劇の最前線を切り開き、演劇文化を広める ここでもやれる 貫く

劇作家 北村想氏

 名古屋でおよそ50年にわたって劇作を続け、1980年代以降の小劇場演劇ブームをけん引してきた。「現代演劇の古典」とも言われる「寿歌(ほぎうた)」など200を超える戯曲を執筆し、「演劇界の芥川賞」の異名もある岸田国士戯曲賞などの受賞歴も持つ。
 高校卒業後、友人の誘いで中京大の演劇部にもぐりの学生として参加したのが始まり。身体表現としての演劇にどっぷりはまり、人気劇作家唐十郎さんの舞台を東京で見て衝撃を受けた。「話(物語)が分からなくても、おもしろいように作られている。こういうものだったら、やりたい」
 25歳で、うつ病の症状が出た。最もつらい時に、熱に浮かされたように書き上げたのが、79年初演の「寿歌」だ。核戦争後の世界を旅芸人の男女らが歩む物語。暗い設定の中、ユーモアを交えながら生の希望を描き、演劇界に大きな影響を与えた。今も多くの劇団が上演する。「僕自身は何を書き、何を上演しているのか分からなかった。分かるまでは、とやり続けて15年もかかった」と笑う。
 70歳に迫るが執筆意欲は衰えず、昨年も4本を書き下ろした。「書くのが日常。書くことが楽しい」。新型コロナウイルスのまん延で上演の見通しは立たないままだが、立ち止まらない。
 東京や大阪の公演でチケットがすぐに完売する人気作家になっても、名古屋に軸足を置くのは若い頃に感じた「名古屋人」への反発から。「東京のものなら何でもありがたがる。ここでもやれるってこと、見せてやろうじゃないか」。その姿は地域の多くの演劇人に慕われている。大津市出身、名古屋市千種区在住。67歳。 (放送芸能部・小原健太)

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