積極的対策でコロナ抑止 感染者利用福井の施設 公表後周囲の「目」悩み

2020年5月28日 05時00分 (5月28日 10時47分更新)
現在も利用者の座る場所を指定し、「三密」を回避する取り組みをする施設=福井市の花園デイサービスセンターで

現在も利用者の座る場所を指定し、「三密」を回避する取り組みをする施設=福井市の花園デイサービスセンターで

  • 現在も利用者の座る場所を指定し、「三密」を回避する取り組みをする施設=福井市の花園デイサービスセンターで

 利用者が新型コロナウイルスに感染していたことが分かり、一時休業を余儀なくされた「花園デイサービスセンター」(福井市松本一)が本紙の取材に応じた。感染した女性は判明前に施設を利用していたが、積極的な対策で施設内での感染を防いだ。感染公表後は周囲の「目」に悩まされる経験も。男性所長(41)は「職員の健康管理や情報公開後の対応に追われたが、施設として適切な対応はできたと思う」と振り返った。(籔下千晶)
 施設では、国内では感染者がまだ少なかった一月から、一〜二時間に一度、手すりや机を消毒したり、風呂を使う人数を五人程度から二、三人に減らしたりする対策を進めた。女性は院内感染が広がった福井市内の医院に通っており、そこで感染したとみられる。施設職員は県の発表会見を毎日チェックし、四月八日に同院での感染が公表されると、利用者の中に通院者がいるかすぐに確認した。
 施設に来ていた女性が通院者と分かると、大事を取って他の利用者と数メートルの距離を取るようにし、その後、女性の家族に迎えに来てもらった。他の利用者には感染の疑いがある人がいると明かした上で「今から送迎車で帰宅もできる」と伝えた。女性と机を囲んだ利用者はあまり会話を交わしていなかったことなども、感染抑止につながったとみられる。
 九日夜、ケアマネジャーから女性の感染が伝えられ、十日からの休業を決めた。福井市保健所の指示を受け、職員十人ほどで防護服を着て館内や送迎車をくまなく消毒した。十日に施設のホームページ、十一日には県の会見を通じて施設名を公表した。
 その後は利用者やその家族、近隣住民からの問い合わせに追われた。「三月に法事で利用者の家族と会った。自分は感染していないか」「祖母は感染者と接触していないか」。詳しい情報を伝えれば感染者の特定につながる可能性もあり「心配なら保健所に連絡してください」と答えるしかできないこともあった。三回線の電話は鳴り続け、問い合わせは約一週間続いた。
 職員が利用者の安否確認のため立ち寄った近くの集合住宅には「花園デイサービスで新型コロナが発生しました。マスクを着用しましょう」と呼び掛ける張り紙が連絡なく張られていた。所長は「感染防止への意識を高める目的だったと思う」としつつ、「施設名を書かなくてもいいのに」と複雑な気持ちになった。近所の人が施設を見に来ることもあった。情報を開示することの難しさを痛感した。
 濃厚接触者の健康が確認され、四月二十三日に施設を再開した。その後も職員全員が朝夕の検温結果をLINE(ライン)で報告し、利用者には「健康観察カード」に体調や行動歴を記録してもらっている。所長は「今後も感染防止への意識を高く持ちながら、休業中に体力が落ちた利用者に元気になってもらえるよう努力していきたい」と話した。

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