8ダム事前放流整備 県、16日に運用開始

2020年5月28日 05時00分 (5月28日 10時59分更新)

県が事前放流の仕組みを整えた県管理ダムのひとつ龍ケ鼻ダム=坂井市丸岡町上竹田で


県は、県内八つの県管理ダムすべてで大雨前にあらかじめ水位を下げる「事前放流」の仕組みを整えた。洪水を防ぐためにため込める空き容量「洪水調節容量」を平均で二割ほど増やせる。出水期に入る六月十六日から運用を始める。
 対象は、龍ケ鼻(坂井市)、永平寺(永平寺町)、笹生川(大野市)、浄土寺川(勝山市)、広野(南越前町)、桝谷(同)、大津呂(おおい町)、河内川(若狭町)の各ダム。
 ダムは平常時、満杯にせず洪水調節容量を空けて運用している。県の事前放流では、常にためている「利水容量」、ダム底への土砂流入に備えて確保している「堆砂(たいしゃ)容量」のそれぞれ一部を流し、水位を下げる。各ダムの洪水調節容量を最大一〜三割増やせるという。
 事前放流を行う時季やタイミングも定めた。ダムごとに若干異なるが、三月または四月から八月の大雨が予想される時に踏み切る。各ダムの基準雨量を超える恐れがある「本当にひどい大雨」(河川課)が該当する。放流は予報を基に、早くて三日前から始める。それ以外の時季(九月〜二、三月)はダムの水需要が少ないため、あらかじめ水位を下げる対策を取る。
 県は、ダムの水を工業用水や水道、農業、電力発電などで取水する関係者と協議し、利水を一時的に放出することへの理解を取り付けた。事前放流後に水位が回復せず、利水者の業務に支障をきたす事態を招かない範囲で、放流を行っていきたいとしている。
 昨年十月の台風19号では、東日本のダム六カ所で満水に迫り、下流域で水害を起こす恐れのある緊急放流に踏み切った。事前放流はこれを教訓に、国が全国で体制を整えようとしている。県河川課の担当者は「想定外の大雨が頻発している中、既存のダムを活用して洪水被害を軽減できる有効な仕組み」と話した。
 県内の国管理ダムである大野市の真名川、九頭竜の二つのダムは、それぞれ昨年の七月と九月から事前放流の運用を始めている。 (尾嶋隆宏)

水害リスク図

新たに60河川

県大雨予想2種類


県が公表した60河川の水害リスク図


 県は二十六日、県が管理する六十の河川について、数十〜百年に一度の大雨や、千年に一度に近い大雨が降った場合の浸水予想を地図に示した「水害リスク図」を新たに公表した。今後、市町が作成するハザードマップに反映される。
 今回公表されたのは、田島川(坂井市)や木瓜(ぼけ)川(大野市)、河濯川(越前市)、木の芽川(敦賀市)など。数十年に一度の大雨を想定した「計画規模」と、考えられる最大級として千年に一度クラスを想定した「想定最大規模」の二種類で、浸水の深さを色分けして表示している。
 このうち福井市の狐(きつね)川では、計画規模を五十年に一度程度の一日総雨量二一九ミリとし、JR越前花堂駅周辺などで広範囲に五十センチ以上の浸水があると見込んだ。想定最大規模の一日八一三ミリの大雨では下流の福井運動公園周辺も五十センチ以上の浸水が予想された。
 県が管理する百九十一河川のうち、足羽川、日野川など二十河川では、水防法で最大級の大雨の浸水想定をつくることが義務付けられ、県は昨年六月に洪水浸水想定区域図を公表。県は義務のない百七十一河川でも独自の水害リスク図の作成を進め、既に公表されていた分を含め六十四河川分が完成した。
 残る百七河川のリスク図は八月ごろ公表予定。県によると、管理する全河川でリスク図を作成する県は全国でも少ないという。九頭竜川下流など国管理の四河川では、国が二〇一六年に洪水浸水想定区域図を公表している。
 リスク図は県河川課のウェブサイトで見ることができる。印刷されたものは県庁九階の同課や、県の各土木事務所で閲覧できる。課の担当者は「災害時に素早く避難できるよう、日ごろから見て備えてほしい」と話している。 (今井智文)

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