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自粛明け進化する観光産業 食や景観に安心プラス

2020年5月28日 05時00分 (5月28日 10時44分更新)

徹底的な安全策を打ち出して宿泊営業を再開したホテル黒部=黒部市の宇奈月温泉で


宿泊数限定 席間隔たっぷり 除菌装置24h稼働

 新型コロナウイルスによる深刻な影響が続く観光産業で、三密回避や県境越え自粛などの逆境を前向きにとらえて宿泊受け入れ形態の変革に踏み出す動きが、県内で出てきた。地元や近接地からの誘客を重視し、食や景観をゆったりと楽しめる宿泊プランなどが登場。業界大手が打ち出す「マイクロツーリズム」も注目される中、コロナ後も視野に入れた戦略に期待が集まる。(中島健二)
 コロナ禍で宿泊施設が休業を余儀なくされてきた黒部市の宇奈月温泉。今月二十二日、ようやく一つの施設が宿泊営業を再開した。温泉街の最奥部に立つホテル黒部。感染の不安が残るが、徹底した接触回避策で週末だけながら受け入れに踏み切った。その策とは−。
 スタッフは全員マスク着用。スタッフが行っていた宿泊客荷物の部屋運びも客自身にやってもらうほか、客が部屋から出て食事処(どころ)に行く夕食時間に用意していた寝具もあらかじめ敷いておくことにした。夕食も個室四室以外の食事処は客同士の間隔をたっぷり空けて使ってもらう。

除菌装置を常時稼働させヒノキの香り漂うホテル黒部の除菌ルーム。ベッドに横になりながらの絶景で心の快適さも追求=黒部市の宇奈月温泉で

 部屋は全部で三十九室あるが、このようにゆったりした食事の用意をする結果、一泊二食での宿泊受け入れ数は限られ一日十二組までに。残りの部屋は一部、スタッフが部屋の前まで弁当を持っていくプランとしたほか、一泊朝食付きか素泊まりでの受け入れとした。
 「旅行というと料理や景色が目的だが、これからの旅の目的には安心がプラスされる」と、ホテル黒部女将(おかみ)の中島ルミ子さん。以前からこのようなゆったりした宿泊スタイルにしたいと考えていたという。さらにヒノキの香りを漂わせる除菌装置を二十四時間稼働させ、ベッドで横になりながら黒部の絶景が楽しめる究極の「除菌ルーム」も備えた。「ウイルス対策と心の快適さも追求した」とか。
 観光業界では、国内外で温泉旅館やリゾートホテルなどを運営する星野リゾートが四月、コロナの治療薬・ワクチン完成で旅行需要が回復するまでの長期プランを社内に提示した。その核となるのが身近な地元の旅行需要である「マイクロツーリズム」。
 既に客室チェックインや食事のビュッフェ方式廃止などを徹底させている同社の星野佳路(よしはる)代表は、この地元需要がまず戻ってくると予測。「地元の人に地域の魅力を知ってもらい、その魅力を発信する手段についての意見をもらう。それがコロナ後に、より強い観光へとつながる」と訴える。
 ホテル黒部も六月までは県民限定で予約を受け付け地元を重視する。中島さんは「今が変革できる好機かもしれない。海外へ行っていたお客さまが日本を旅していただけるいい機会にもなる」と期待を込める。
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 この記事は二十七日夕に放送した富山テレビ放送「中島流!深掘りTOYAMA」との連動企画です。中島流の次回は六月三日のライブBBT午後六時台に放送します。(放送日は変更になることもあります)
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