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学校再開に向け教員が対話 感染防止、授業…募る不安

2020年5月27日 05時00分 (5月27日 11時34分更新)
廊下側の壁を取り外し、座席を離した教室で授業を受ける児童ら=三重県伊勢市の明倫小で

廊下側の壁を取り外し、座席を離した教室で授業を受ける児童ら=三重県伊勢市の明倫小で

 三カ月近くの休校を経て、各地で学校再開が進む。教員たちはどんな思いを抱えているのか。本紙は教員を支援する一般社団法人「ひらけごま」と連携してビデオ会議システム「Zoom」による対話集会を開催。愛知、岐阜、三重の三県から参加した十一人の公立小中学校の教員が本音をぶつけ合った。
 突然の休校決定に始まり、再開時期も二転三転。多くの教員は難しい対応を迫られた。前例のない約三カ月のブランクを経て迎える学校活動には「子どもに会える喜びはあるが、正直この先の不安の方が大きい」(名古屋市・小学教諭)。感染のリスク、増え続けるタスク。休校中以上の重圧がのしかかる。
 「自分が児童に感染を広げてしまうことが怖いので、机の配置で最前列を空席にした」(岐阜県・小学教諭)
 感染者が出た時に給食当番の子が感染源と疑われ、いじめの標的になる可能性を考え「低学年は教員が代わろうと決めた」(岐阜県・小学教諭)という学校もある。
 気を付けなければならないのは感染だけではない。「熱中症対策の方が心配」。愛知県の小学教諭は「『ここは来年』と授業時間数を削ってくれれば夏休みの授業もしなくて済むのに」と漏らした。
 「休校中に海外旅行に出かけ、帰国後に熱を出した子がいて気をもんだ。一方で、心臓疾患のある妹を守るために学校に行きたくないという子もいる」と話すのは岐阜県の小学教諭。「家庭ごとの意識の差は大きい。学校に行かない選択をする子のための環境が整っていないのに再開するのは不平等」と指摘する。
 感染防止を優先するあまり、学校を嫌いになるのではないかと心配する声も相次いだ。学校生活の細かなルール作りを担当した教員は「これから始まる学校は、子どもたちがイメージしている学校とはズレている」(名古屋市・小学教諭)と言い切る。
 「遊具もプールも使えない。楽器も歌もできず、学校に来て良かったと思えるのか。職員会議で嫌になった」(愛知県・小学教諭)
 「児童同士の関係をうまく築けるかどうか…。一斉授業についていけなくなる子、勉強嫌いになる子も救わなければ」(名古屋市・小学教諭)
 実際、分散登校が始まった学校からは「生徒がおとなしすぎる。人との接し方を忘れたかのよう」(三重県・中学教諭)という報告もあった。
 特に配慮を要する児童への対応も難しい。愛知県の小学教諭は「一年生や特別支援学級の子は、手をつないできたり、抱きついてきたりする。不安だからこそ距離を近くしてあげたいのに、マスクをしているだけでも心の距離ができてしまう」と話す。
 これまでとは異なる対応を求められる教員の悩みは尽きない。ただ、これを解くカギも対話の中で見つかった。それは、子どものために知恵を絞る教員同士の協力だ。
 「管理職は危機対応が中心。子どもたちの問題は教員間で柔軟に共有し、ボトムアップで考えていかないと」(名古屋市・小学教諭)
 「職員室のホワイトボードに悩みや質問を掲示し、付箋でアイデアを出し合ってみては。影踏みとか、ソーシャルディスタンスを保ちながらできる遊びを考えてみるのもいい」(名古屋市・小学教諭)
 「職員室の雰囲気はそのままクラスに伝わるもの。自分が学校を楽しもう。それが子どもが楽しむことにつながる」(愛知県・小学教諭)
 年齢も性別も地域も多様な十一人が本音を吐き出した二時間。学校再開という節目で現場の教員がやるべきことは「明るく元気でいること」と確認して、散会した。

受験控え、進路指導に難題

 高校への進路指導を控える中学校の教員からは、学習面と高校入試を不安視する声が出た。
 三重県の教諭は「授業の遅れを取り戻せるように、計画を立て直した。教科によっては塾のように授業をすれば年度内に終わらせることはできるが、心配なのは高校入試」と打ち明ける。
 愛知県で教える別の教諭は「1学期の実力テストを実施できず、進路指導の材料が不安。にもかかわらず、部活の大会の日程が優先されている」と戸惑いを漏らした。
 (宮崎厚志)

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