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東郷「デマンドタクシー」本格運行1カ月 地域の足、滑り出し上々

2022年8月7日 05時05分 (8月7日 05時06分更新)
デマンドタクシーに乗車する女性=東郷町春木の町総合体育館で

デマンドタクシーに乗車する女性=東郷町春木の町総合体育館で

 足が悪かったり、高齢だったりしてバス停まで行くのが困難な人を支援するため、二〇二〇年十二月から「デマンド型交通」の実証実験を続けてきた東郷町。理想は、低コストで効率的な交通システム。町未来プロジェクト課の担当者が知恵を絞った「デマンドタクシー」が七月一日、本格運行を開始した。 (平木友見子)
 デマンド型交通は、行き先や乗車時間など利用者の予約に応じて運行する地域公共交通。町内には鉄道の駅がなく、バスは高速バスを除き町営、民営合わせて十五路線あるが、本数は地域によって偏りがある。四月の町長選直前に実施した本紙調査(町民百人回答)では、次の町長に求める最優先施策として「公共交通の改善」を挙げる人が三十四人と最多。高齢化率が二〇年五月末現在で26・6%と免許返納の増加が予想される中、移動の足の確保は重要課題の一つだ。
 「デマンド」が目指すのは、交通の不便さを理由に施設などに入る状況をなくすこと。町未来プロジェクト課の磯村理恵課長は「住み慣れた地域でずっと暮らせるようにするのが願い」と話す。実証実験は、誰を対象とするか、乗降場所、料金、回数の上限、運行日や時間などの条件を変えながら三期、一年にわたって実施。乗り合い方式を試した第一、二期は、コロナ禍の中、感染対策を考えて十人乗りのジャンボタクシー二台をレンタルした。しかし、一人当たりの輸送経費は三千六百五十一円と予想を大きく上回った。
 会議室に集まっては知恵を絞る中で出たのが、地域のタクシー会社の空き車両を活用する案だ。同課主事の青木香奈美さんは「やっと前に進めてほっとした」と振り返る。空き車両を使った第三期、一人当たりの輸送経費は七百四十六円となり、それまでの約五分の一に抑えることができた。
 運行開始に当たっては、実験の結果や利用登録した人へのアンケートなどを基に、乗降場所にコンビニや家電量販店などを加えた。本年度予算に事業費五百万円を盛り込み、町内を走るタクシー会社三社と契約。使えるのは六十五歳以上の高齢者と障害者、妊産婦で料金は片道三百円。超過した分は町が賄う。運行は土日祝日も含む午前九時〜午後五時で、空き車両があれば当日の予約もOKだ。
 七月末時点の登録者は七百五十七人。運行するタクシー会社の一つ、マルセタクシーの運転手荒島城(じょう)さん(76)によると、予約は平日で十二〜十五件、土日は十件ほどで、行き先はスーパーと病院が多い。「コロナ禍で仕事が激減しているので助かっている」と話す。
 週一回、町総合体育館の体操教室に通うため利用する同町春木台の八十代の女性は「バスの本数が減って不便だった。タクシーは家の前まで来てくれるので便利」と喜ぶ。ただ「日進市の病院に通院しているので町外にも行ってほしい」と注文する。
 町外での乗り降りを望む声は多いが、既存の公共交通機関との兼ね合いで実現は難しいという。磯村課長は「利用者の声を参考に、課題は次の段階で考えていきたい」と話す。

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