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中日春秋

2022年8月7日 05時05分 (8月7日 05時06分更新)
 セミをカマキリがとって食おうと狙っている。実はそのカマキリの後ろにはさっきからスズメがいて、カマキリを狙っている
▼危険が迫っているのにカマキリはセミしか見ていないのでスズメの存在に気が付かない。中国故事にいう「蟷螂(とうろう)、蝉(せみ)を窺(うかが)い、黄雀、後ろに在り」
▼目の前のことに気を取られて、背後から迫っている危機に気が付かないことの意味だが、その警護はセミばかりを見ていたカマキリになっていたかもしれぬ。安倍晋三元首相が奈良市で演説中に背後から銃撃された事件である
▼なぜ、容疑者は元首相の背後にやすやすと近づけたか。事件当初からの疑問だったが、警察庁が発表した警護に関する検証の中間報告にその事情の一端がうかがえる
▼元首相の前方の聴衆が増えたため、演説直前、後方にいた警護員が指示を受けて前方に移動している。問題はこの配置変更が無線などで情報共有されなかったこと。結果、後方はがら空きのまま。そこにスズメが…の悲劇を招いた。政治家銃撃など日本では起こらぬ。そんな油断がどこかになかったか
▼教訓を生かしたい。大規模な要人警護が必要となる、元首相の国葬のほか、来年には広島サミットもある。カマキリを悪く書いたが、ドーム状の目によってカマキリの視野はかなり広く、後方のスズメに気付かないことはないようだ。油断なき本物のカマキリの目を。

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