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【龍の背に乗って】阿知羅にはやる理由があった

2019年4月30日 02時00分

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ワインドアップで投げる阿知羅(中嶋大撮影)

ワインドアップで投げる阿知羅(中嶋大撮影)

 武骨で雄々しく、何よりも美しい。谷間に咲くことはできなかったが、阿知羅はワインドアップで投げていた。今キャンプ中に変えたという彼の思いは高橋記者の記事を読んでもらうが、僕にとっては待望の瞬間でもあった。大御所・松坂がリハビリ中につき、振りかぶって投げる中日勢の1軍戦登板は今季初。広島・野村(24日)、大瀬良(25日)、阪神・西(27日)と、最近は敵の投手ばかり見てきたから、ようやく願いがかなった。そして、僕以上にワインドアップを愛するあの人が、テレビ解説を終えたところをつかまえた。
 「僕はそういう環境で育ったから。アナウンサーが『ピッチャー、大きく振りかぶって第1球…』ってね」
 山本昌さんは生涯、ワインドアップを貫き、平成で最も多くの白星(214勝)を積み上げた。昭和の野球は投手たるもの大きく振りかぶるのが当たり前だったが、平成の間に気が付けば絶滅危惧種になっていた。今や高校野球でもノーワインドアップどころか、常時セットポジションが主流である。大きな動きはクセにもつながる。セットとの投げ分けでフォームのバランスが崩れ、故障の遠因となる…。やらない理由はいくつもある。だからこそ「やる理由」を見つけて振りかぶる投手はかっこいい。
 「どんな狙いがあるのかはわからないけど、阿知羅は背も高い(190センチ)から、より大きく見せようというのもあるのかな。体が伸びるから、ゆったり放るにはいいだろうね」
 こう話した山本昌さんは、阿知羅のスタイルは「傾斜があって硬いナゴヤドームのマウンドに合っている」とも分析。「踏ん張れば足が止まる。どこかが止まれば先端(腕)は走る。来週も名古屋(5月6日)でしょ? 勝つ可能性あるよね」とプロ初勝利に期待した。松坂復帰も待ち遠しいが、その前に阿知羅が「ワインドアップ勝利」を見せてくれそうだ。
(渋谷真)

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