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【支える 社会的養護の今㊦】里親制度 普及道半ば 体当たりで臨む子育て

2022年8月6日 05時05分 (8月6日 09時59分更新)
 笑顔のピースサイン、晴れ姿の緊張した表情…。養育里親として長年活動をしている本江裕子さん(62)=富山県射水市=の自宅には育ててきた里子たちの写真が並ぶ。「私の産んだ子どもではないが、母親だと思って育ててきた」と語る。
 保育士の資格を持つ本江さんは、約十年前に複数の里子を受け入れる「ファミリーホーム」を自宅に開設。児童相談所などを通じて、これまで十人余りの子どもを受け入れてきた。自らの家庭の事情で今年三月にホームは閉鎖し、新規の受け入れは止めたが、現在も男子を育てている。
 里子の生育環境や特性は千差万別。虐待を受けた反動で、問題行動をとる子もいる。「親じゃないくせに」と反抗されても、叱るべき時は叱り、信頼関係を積み上げてきた。本江さんは「子どもと体当たりで向き合い、その子の強みを引き出してあげることが重要」と力をこめる。

里子たちの写真を見ながら、「子どもと体当たりで向き合うことが大事」と語る本江裕子さん=富山県射水市で

 本江さんは、今いる子どもを育て終えたら、里親としての活動は一区切りをつけるつもりだが、課題と考えているのは後進となる里親の育成だ。
 実親の存在についてどう話すかなど、繊細な問題は多い。心に問題を抱えた里子も少なくなく、医療との連携も必須と考える。「里親には里親にしか分からない子育てがある。自分の体験を伝え、他の里親を支えていきたい」と語る。
 里親家庭で暮らす子どもは二〇二〇年度時点で、富山県内が二十二人、石川県内が十六人。
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 国は、実親と暮らせない子どものうち、里親のもとで暮らす子の割合「里親等委託率」の引き上げを目指している。一七年には、乳幼児−学童期の里親委託率を段階的に50〜75%まで引き上げるという目標を示し、各都道府県に推進するよう求めているが、全国平均は二〇年度末の時点で22・8%と道半ば。富山県は21%、石川県は17%。国は制度の認知度の低さや、各自治体で里親業務に関わる職員が少ないことを課題とみている。
 富山県の担当者は委託率について「十年前と比べたら上向いてきているが、まだまだ上げる余地はあると思っている。里親の研修や制度の普及啓発を進めていきたい」と話す。石川県の担当者は「児童養護施設などと連携して、少しでも上げていきたい。制度名だけではなく、里親が具体的にどのようなものなのか、取り組みをPRしていきたい」と説明している。(この連載は山岸弓華が担当しました)

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