劇団俳優座、東日本大震災テーマに舞台「待ちぼうけの町」、9月2日から、失われた命胸に前向く姿描く
2022年8月6日 05時00分
東日本大震災の記憶をとどめようと劇団俳優座は9月2日から東京・両国シアターXカイで舞台「待ちぼうけの町」(堀江安夫作、川口啓史演出)を上演する。震災で傷つき、さまざまな宿命を背負った人々が人生の一歩を踏み出そうと前を向く姿を描く。舞台の中核を担う加藤佳男(68)、安藤みどり(48)と若手の山田定世(29)にそれぞれの役を通じた震災への思いを聞いた。(三橋正明)
宮城県の漁港にある小さな居酒屋「苫屋(とまや)」。安藤演じる多緒が切り盛りする店には、漁師、復興事業に携わる作業員、役場の職員らがひとときの憩いを求め集まっていた。多緒は震災で子供を失い夫は依然行方不明のまま。そこに記憶を失った臨時作業員の釧路希人と呼ばれる男(加藤)が現れる。大やけどを負った男のしぐさなどに夫を垣間見た多緒。真実は…。
作者の堀江さんは仙台市出身で自宅が被災した経験を持つ。問題を抱えつつ、前向きに生きる人々を物語に紡いだという。
加藤は「震災から7年後から始まる物語だが、道路ができたり復興が進むものの、かけがえのない失われた命への思いはいつまでも消えてはいない。酒場で織りなされる人間模様がひとつの家族のようになってくるんです」と舞台の根底に流れるテーマを語った。
大やけどを負った謎の男を前に、多緒は漁船を守るため船を沖合に出そうとして行方不明になった夫を思い出すが、一方で別の男に言い寄られる大人の恋も描かれる。安藤は「居酒屋に集まってはみんなで支え合っている。仕事は違っても一人一人が生き生きしている」と説き、「ときにはけんかや怒鳴り合いも起きる店の中は本当にリアルです」。
店に顔を出す若い漁師・柳田を演じる山田は「気質の荒い漁師。舞台で感情をぶつけるにははっちゃけた方がいいと思って演技しています」と明かし、実際に東北の漁港に見学に行こうとしたが、コロナ禍で断念。「その代わりに漁の動画や本を参考に勉強しました」と話し、「舞台は架空の漁港ですが、上演後、本物の漁港を訪れてみたい」と役に入り込んでいく心情を語った。
舞台の後半は2年前が舞台に。復興をうたった東京五輪を控え、コロナ禍に見舞われる日本がそこにはあった。加藤は「大震災は歴史でなく、忘れてはいけない現実」と語り、安藤も「いまだ続くコロナ禍、ウクライナ侵攻などいろんなことがある中でも、忘れちゃいけないんです」と力を込めた。
演出の川口さんは「とにかく観客に力を与えられる舞台にしたい。命を落とした人たちへの追悼とともに忘れかけているパワーを取り戻せる作品に仕上げたい」と明快に語った。
舞台は9月11日まで。
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