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「しおり」が語る戦時色 8月末まで豊嶋さんのコレクション展示

2022年8月6日 05時05分 (8月6日 18時29分更新)
戦闘機や兵士が描かれ、博覧会で配られた栞

戦闘機や兵士が描かれ、博覧会で配られた栞

  • 戦闘機や兵士が描かれ、博覧会で配られた栞
  • 学生服や靴メーカーの宣伝栞も戦時色がいっぱい
  • 戦時下に製作された栞を並べて企画展を開いた豊嶋さん=名古屋市中川区石場町2の中川運河しおりギャラリーで
 「栞(しおり)に見る戦時下のニッポン展」と題した企画展が、名古屋市中川区石場町二の中川運河しおりギャラリーで開かれている。太平洋戦争中、日本では国民を叱咤(しった)激励し、戦いに駆り立てる標語が街中にあふれ、本に挟む小さな栞にも「報国」の文字や国防を強く意識したデザインが目立つようになった。「時代の映し鏡」ともいえる貴重な資料を、「幅広い世代の人たちに見てほしい」と呼びかける。三十一日まで。
 三十五年ほど前から国内外のアンティーク栞を収集している北区木津根町の豊嶋利雄さん(70)のコレクションの一部。軍国主義が拡大した一九三〇年代ごろから終戦時までに製作されたとみられる栞約百三十点を展示した。
 国威発揚の場だった博覧会で配られた栞は、戦闘機が描かれるなど特にプロパガンダ色が強い。三二年に大阪城下であった「満蒙(まんもう)大博覧会」で配られたものには、城とともに兵士が大きく描かれた。三五年に広島県呉市で開かれた「国防と産業大博覧会」の際、大阪の肝油メーカーが作った栞は大型爆弾の形。三八年に名古屋で催された「国民防空展覧会」の栞の裏面には、「心の構えを第一に 物の備えをその次に 三に訓練怠らず 広い空だよ みんなで守ろ」の標語が記されている。
 少年・少女雑誌の付録の栞も、戦時色がいっぱい。三九年発行の「少女倶楽部」の栞には、国旗を手にしたセーラー服の少女とともに銃剣を持つ兵士の姿。「一死奉公 一心貯蓄」の標語も載った。「幼年倶楽部」の栞にも「傷ついた勇士の手となれ足となれ。」「乗り降りも、まず戦傷の勇士から。」などの言葉が並ぶ。こうした栞を子どもたちに毎日使ってもらおうと、裏面は時間割の表になっているタイプも目立つ。
 終戦から今月で七十七年。東欧ではロシアによるウクライナ軍事侵攻が続く中、豊嶋さんは「過去から何を学ぶか。今こそ、そのことが強く問われているのではないか。大人だけでなく、子どもたちにも見てもらいたい」と話した。
 午前十時〜午後四時。二十日を除く土曜と日曜、祝日、十一〜十五日は休み。入館無料で予約制。(問)同ギャラリー=052(361)5445
       ◇ 
 中川運河しおりギャラリーは、栞の印刷を主に手がける近藤印刷(名古屋市中川区石場町二の五一)が地域おこしなどを目的に、社屋から約三十メートル西側にある倉庫の一部約十六平方メートルを改装して昨年五月に開設した。
 常設展示と、企画展では豊嶋さんの一万点を超す栞コレクションの中からテーマを設けて二カ月ごとに紹介。これまで「はやり病の栞展」や「英国のアンティーク栞展」を催した。
 (小島哲男)

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