重賞初挑戦のブラッティーキッド、腰に抱えていた問題のこと【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】
2022年8月5日 06時00分
エルムSで重賞初挑戦するブラッティーキッドは地方再転入組だ。中央デビューで勝ち上がれず、地方に転出。そこで一定数の勝利を得てJRA再転入条件を満たした。3歳4月とデビューが早いわけではないが、9月まで11戦して勝ち上がれず。その間、競走間隔が最大で中2週。かなりタフだ。使い倒して勝ち上がれなかった馬が兵庫で5連勝して大化け。再転入後も連勝をさらに3つ伸ばしてここまで「8」だ。今夏最大の上がり馬の一頭に数えられることは間違いない。
こうなるとむしろ未勝利時代に何をしていたのかというところが気になるのだが、これははっきりしている。寛骨が左右非対称だ。
デビュー当初、常歩を後ろから観察すると右トモがうまく入ってきていなかった。横からの視点だが、今でもデビュー当初のパドック動画を見ると分かる。ギャロップでは歩法がアンバランスなのがより顕著になり、中央未勝利時代にはほぼずっと右に張っている。これではまともに追えないし、十分な調教負荷もかけられない。
エックス線写真を見たわけではないので、この左右非対称がどういった性質のものかは即断できない。本多助手は「腰の骨が曲がっていて筋肉がつきづらい」と話すが、「骨が曲がっている」と言われそうな状態には、(1)脊柱の真っすぐな軸に対して文字どおり曲がっている。(2)左右対称で、あるべき骨のパーツが非対称、との2パターンがある。あくまで外見判断だが、同馬は曲がっているというより左の腸骨(寛骨の中で最も外に張っているパーツ)が右に比べてやや小さく映る。昨年4月25日新潟3R(3歳未勝利)のパドック動画で直後の馬が映る番で直前を引かれる同馬の腰の縦位置が映り込んでいる。
ケースによるが成長とともに、こうした左右差は目立たなくなることもある。近況をうかがうに、同馬は常歩もギャロップも以前ほど、左右の不均衡を気にさせなくなった。まだ伸びしろは残っているにせよ、本格化への階段を順調に上っている。
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