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<EYES> フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん 先送りできぬ問題

2022年8月4日 05時05分 (8月4日 10時00分更新)

ワルシャワで開かれた合同パレードには、隣国ウクライナからも多くの人々が参加した

 「政権は性的マイノリティーのことをスケープゴートに使い、『そうした連中を野放しにしておくと、“家族”が破壊される』と叫ぶのです。この傾向は特に目新しいものではなく、他国でもよく目にする光景です」
 ポーランドで性的マイノリティーの支援を続けてきた市民団体、ラムダ・ワルシャワのスポークスパーソン、イーガ・コスツェーバさんは、ワルシャワ市内の事務所で淡々とこう語った。ポーランドでも、政治家たちからの差別発言が絶えないという。それでも、「明るい未来があることを疑わない」と彼女は語る。
 今年はウクライナが戦時下のため、性的マイノリティーの権利などを訴えるキーウ・プライド・パレードがワルシャワでの開催に。6月にワルシャワ・プライド・パレードと合同で開かれ、数万人の人々が集い、人権と平和のために声を上げた。こうした熱のあふれる場所に立つと、確かな変化のうねりを感じることができる。
 日本はどうか。参院選の投開票日、ラジオの選挙特番で同性婚などについて尋ねても、「議論を重ねていく」「理解を深めていく」と正面から答えない政治家があまりに多いことを痛感した。つまり「マジョリティーが“理解”するまで、不利益をこうむり続けろ」ということになってしまう。これは先送りのできない、生活と命に直結する問題であるはずだ。
 <やすだ・なつき> 1987年神奈川県生まれ。認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)他。上智大学卒。TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

◆認定NPO法人Dialogue for Peopleのサイトはこちらから。

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