本文へ移動

<2022夏 視点 磯部修三> センバツ経験値大きく

2022年8月3日 05時05分 (8月3日 05時05分更新)
静清との決勝戦で、完投し優勝に貢献した日大三島・松永投手=7月29日、草薙球場で

静清との決勝戦で、完投し優勝に貢献した日大三島・松永投手=7月29日、草薙球場で

 春の東海覇者・浜松開誠館か、センバツに続き二季連続で甲子園出場を狙う日大三島か、はたまたノーシードながら投打にパワフルな常葉大菊川か。開幕前、混戦模様ながら前記三チームが有力視されて迎えた選手権県大会。終わってみれば無難に大会を乗り切った日大三島に凱歌(がいか)が上がった。
 浜松開誠館は第一シードの重圧に初戦の硬さが加わって身動きが取れずに敗退。常葉大菊川は寮生全員がコロナ禍で出場停止に追い込まれて、ベンチ入りは自宅通学生のみの十一人。果敢に戦いを挑んだものの、四回戦で静清に敗れ姿を消した。
 日大三島も浜松商との初戦で2点を先取されるなど必ずしも順風満帆の出足ではなかった。しかし失点を上回る得点力で勝ち上がり、延長十三回タイブレークの激闘で掛川西に勝利して一気に頂点に駆け上がった。戦力以上にセンバツで得た経験値が大きくものを言った印象が強い。
 攻撃力は従来の一番・京井聖奈選手、四番・松永陽登選手に、三番に入った池口奏選手が成長して得点力は増した。しかし、甲子園の戦いを展望するとき課題は明白で「投手力」だ。
 松永選手の先発、京井選手の救援で県大会は乗り切ったが、主戦の松永選手がピリッとしない。従来に比べて左肩の開きが早く、抜けたボールが多くてコントロールもままならない。そんなシーンが目についた。甲子園のマウンドで気負えばその傾向はますます強まるのではないか。このまま開幕となれば悲願の「甲子園1勝」はおぼつかない。
 準決勝戦を戦った三校に触れておきたい。
 静清は春季大会当時に比べて内野の守備力が格段に向上しチームの躍進を支えていた。このチームの課題はベースランニングと打力のレベルアップだろう。浜商、中大、ヤマハと俊足強打の外野手として鳴らした長田仁志監督の的確にして強力な指導が待たれるところだ。
 掛川西は投手陣の好調ぶりが印象深い。五月末に見かけた彼らからは想像もつかぬ出来栄えだった。低迷する県の投手レベルにあっては出色で、甲子園のマウンドに立たせてみたいと思わせる力投だった。
 春の西部大会の初戦敗退からベスト4にまで勝ち残った聖隷クリストファー。上村敏正監督の勝利に対する執念が投手力の弱さをカバーし後半の逆転劇を演出していた。
 振り返ればコロナ禍に翻弄(ほんろう)され続けた三年間だった。筆舌に尽くしがたい苦闘の日々にも敢然と戦い続け、グラウンドを後にして行った三年生諸君に、心から拍手を送りたいと思う。 (高校野球解説者)

関連キーワード

おすすめ情報