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「科学を身近に」 県内研究者2人がCF

2022年7月31日 05時05分 (7月31日 05時06分更新)
抗がん剤治療に使える化合物を探求する安藤隆幸さん=県環境衛生科学研究所で

抗がん剤治療に使える化合物を探求する安藤隆幸さん=県環境衛生科学研究所で

  • 抗がん剤治療に使える化合物を探求する安藤隆幸さん=県環境衛生科学研究所で
  • 光化学スモッグを予測するAIを研究する小田祐一さん=県環境衛生科学研究所で
 県環境衛生科学研究所(藤枝市谷稲葉)に所属する科学者二人が、環境と医療(創薬)の分野で、研究のための資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。光化学スモッグの発生を予測する人工知能(AI)を開発する小田祐一さん(37)と、抗がん剤治療に使える新たな化合物を開発する安藤隆幸さん(52)。二人は「CFでの研究支援を通じ、難しい科学の世界を身近に感じてほしい」と語る。
 研究所によると、十分な研究費用が確保できなかったことを受け、研究内容についての県民の関心も高められるCFを実施することにしたという。
 小田さんの研究は、光化学スモッグの原因となる「光化学オキシダント」の発生条件を、過去四十年のデータを学習させたAIに予測をさせるとの内容。発生には汚染物質の濃度や風、日射などさまざまな条件が複雑に絡み、予測の精度もいまひとつなのが現状だ。実用化されれば、事前に発生時期や汚染物質の濃度がどの程度上昇するかなどを、正確に割り出すことが期待されている。
 がん治療に使える化合物を探求する安藤さんは、がん細胞のDNAを修復する「Rad(らど)52」と呼ばれる分子に着目。特に乳がんや子宮がんで一度死滅したはずのがん細胞が復活する現象は、この分子が原因とされる。研究では分子の働きを抑える新しい化合物をつくるのを目的とする。将来的にはこの研究を基にした「静岡発のがん治療薬」の開発も視野に入れている。
 CFで集めた資金の用途について、小田さんはAIにデータを学習させるパソコンの購入費に、安藤さんは化学合成に関する研究費用に充てる。小田さんは「研究はかなり順調で、二〇二二年度中にも実用化したい」、安藤さんは「皆さんの支援があれば、めげずに化学合成が続けられる」と話す。
 目標金額はともに百二十八万三千円。学術系のCFサイト「アカデミスト」から、八月十八日まで支援できる。
 返礼には金額に応じて研究報告リポートや論文への氏名掲載などが受けられる。安藤さんの場合は五十五万円の寄付で化合物への命名権もある。目標額に達しない場合は研究を実施しない。 (大橋貴史)

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