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【北の富士コラム】私は今年で終わりの気持ちで来ていただけに、残念でたまりません。15歳で初めて名古屋に来て65年、思えばその間、一度も休んでいません。

2022年7月25日 05時00分

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大相撲名古屋場所で優勝し賜杯を持つ逸ノ城

大相撲名古屋場所で優勝し賜杯を持つ逸ノ城

◇24日 大相撲名古屋場所千秋楽(ドルフィンズアリ―ナ)
やっと、やっとのことで、名古屋場所が幕を下ろした。最後までコロナに悩ませられた場所だった。何はともあれ無事とは言えたものではないが、千秋楽を迎えられたのはひとえに大相撲ファンの皆さんのおかげであります。その一言に尽きます。ありがとうございました。
 決定戦もあると思わせたが、照ノ富士が貴景勝に敗れ、先に取組を終えていた逸ノ城に優勝が転がり込んだ。逸ノ城はインタビューの質問に、照ノ富士が負けてくれ優勝が決まりうれしかったと、正直に喜びを口にしていた。
 照ノ富士は大詰めの正代戦や貴景勝戦を落とし、優勝を逃したが、相撲に疲れが見て取れた。膝の方もまだ不安定で、本来の相撲は何番あったろうか。
 今場所は初日から上位陣が負け続け、荒れる場所と予感されたが不安は的中した。クシの歯が欠けるようにスカスカになった取り組み。他の興行なら中止になってもおかくしくない状態であった。コロナに敗れた場所だったと言えよう。目に見えない相手だけに協会の努力もむなしく終わった。
 逸ノ城にはおめでとうと言ってやりたいが、複雑な気持ちではある。だが、小さな声でやはりおめでとうと祝ってやることにした。
 総括としては、上位陣の不振が響いた。正代も終盤になって気を吐いたが遅きに失していた。関脇の若隆景は勝ち越したが、期待したほどの活躍は見られなかった。大関への意識が少し強すぎたようだ。
 大栄翔も押しだけでは通じなかった。やはり何かが足りなかったのだろう。コロナで休場に追い込まれたのは気の毒だったが、再起を期待したい。上位陣不調の中にあって豊昇龍、霧馬山、若元春の若手が順調に強くなっている。琴ノ若もコロナに泣いた一人だが、次期大関候補に名乗りを上げてきた。もっと褒めてやりたい力士もいるが、今は何を語ってもむなしい。
 私は名古屋場所は今年で終わりの気持ちで来ていただけに、このような事態となって残念でたまりません。本日は昭和32年に初めて名古屋に来て、部屋の宿舎となった中区梅川町にある「長栄寺」を訪ねてみた。今は梅川町はなく探すのに苦労したが、調べてくれる人がいて見つけることができました。15歳から24歳で大関に昇進するまでお世話になったお寺は、思っていたより小さく感じました。周りの畑は住宅となり、使用していた銭湯もありませんでした。
 今だから言えますが、お湯を沸かすおじさんが一度だけ女湯ののぞき穴を見せてくれました。胸がドキドキしたのを覚えています。何もかも変わっていましたが、境内の何の木か分かりませんが木はまだありました。その木の下で大起関や羽島山関に稽古を付けてもらいました。今は駐車場になっています。それでも懐かしさでいっぱいです。涙が出そうでした。これで心残りはありません。
 15歳で初めて名古屋に来て65年、思えばその間、一度も休んでいません。それが自慢です。たくさんの人に助けていただきました。恋もしました。来年は名古屋場所を見に来るつもりです。では皆さん、さようなら。25日は東京へ帰ります。「白い街」名古屋。また会う日まで。なーんちゃって今の話は冗談冗談です。私はしぶといです。(元横綱)
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