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【家族になろうね~特別養子縁組で子どもを迎えて~】②里親登録へ ふたつの「道」と「壁」

2022年8月4日 17時00分 (8月5日 11時51分更新)

こんな「あなた」に届けたい

・生みの親と暮らすことのできない子どもたちの社会的養護に関心のあるあなた
・里親や養親をやってみようと思い始めているあなた
・多様な家族の在り方に関心があるあなた

前回【家族になろうね~特別養子縁組で子どもを迎えて~】①赤ちゃんがやってきたのあらすじ
 結婚からしばらくして男性不妊が判明し、実の子を望めなくなった私。「血縁ってなんだろう」と葛藤する中で、愛知県の児童相談所が先進的に取り組んできた「赤ちゃん縁組=愛知方式」に出会い、特別養子縁組を通じて親になる一歩を踏み出した。

 先日1歳10カ月を迎えたKちゃんが、ひとり歩きを始めた。手をつないで歩かないと座り込んでしまっていたのに、今や私が手をつなごうとすると「いやだー」と言う。少し寂しくなる。

すっかりひとり歩きができるようになったKちゃん。手つなぎはいやがることも=石川県七尾市で

 日々の成長に感激するとともに、正直なところホッとした。育児書には、ひとり歩きを始める時期は個人差があるものの、「たいていの子は1歳2~3カ月ごろですが、早い子だと10~12カ月、逆に遅い子だと1歳半近く」と書かれていた。
 Kちゃんはもともと寝返りを好まず、ハイハイを始めたのも1歳5カ月ごろ。いつもお尻をすりながら移動していた。調べると、そうした子どもは「シャフリングベビー」と言うらしい。身体的な問題がないか心配になって、病院で磁気共鳴画像装置(MRI)で検査したり、療育専門の子育て広場を訪れたりしたが、特に異常はないという。
 シャフリングベビーは立ち上がるのが遅いだけで、その後の発達には影響はないと説明を受けた。「お尻ずりするのが、彼女なりのハイハイ」と助言をもらったこともあった。
 子どもの成長は十人十色。とはいえ、特別養子縁組、中でも乳児期から里親に託される「赤ちゃん縁組」は、迎え入れた子どもが何らかの障害や病気を持っているかもしれないし、それらを個性として丸ごと受け入れる覚悟が求められる。
 連載2回目は、里親になるために一歩を踏み出した人たちが直面する選択や、里親になる上で必要な心構えについて記したい。(北陸本社報道部・奥田哲平)

踏み出して知った「年齢の壁」

 不妊治療を経て2014年に「赤ちゃん縁組=愛知方式」を知り、里親になろうと決めた私たち夫婦は、早速その方法を調べ始めた。その当時、特別養子縁組の対象になる子どもの年齢は6歳未満(2020年の改正民法により15歳未満に引き上げられた)。そして知ったのは、まず「年齢の壁」があるということだった。
 里親の中でも、法的に親子となって子どもを育てる特別養子縁組の場合、年齢差はおおむね45歳以下が望ましいとされる。子育てには体力が必要なこと、子どもの進学などでお金が必要となること、子どもができるだけ長く親と過ごす時間をつくることが理由だ。
 晩婚や不妊治療の長期化で40歳前後まで妊活を続けた場合、養子縁組を考え出すと突然、年齢制限に直面する(年齢制限は児相や民間団体によって異なるので、それぞれ確認してほしい)。
 私たちが不妊治療を終えたのが2012年。里親登録まで4年かかり、私はすでに37歳になっていた。連載の1回目でも触れたが、不妊治療に区切りを付けても、すぐに心の切り替えはできない。ただ、「里親になろう」と一歩踏み出したときに年齢の壁にぶつかり、諦める夫婦をできる限り少なくしたいと思う。
 そのためには不妊治療と並行して、うまくいかなかった場合に里親になるかどうかも選択肢の一つとして考慮してほしい。治療中はどうしても精神的に不安定で、治療結果に一喜一憂しがちだ。夫婦2人で生活を送るのか、子どもを迎えてどんな人生を過ごしたいのか、ライフプランを考えることは、不妊治療を終えた後にも続く長い人生のために決して無駄にはならないと思う。
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