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歴史のうねり、演奏とともに 名古屋で9月「映像の世紀コンサート」

2022年7月23日 05時30分 (7月23日 05時30分更新)
加古隆

加古隆

 2つの世界大戦や反戦運動、工場の風景など、人類がこの100年余りの間に記録してきた貴重な映像を、加古隆のピアノとオーケストラの演奏に乗せて大スクリーンで届ける「映像の世紀コンサート」が、9月19日午後5時から、名古屋・栄の愛知県芸術劇場大ホールで開かれる。加古は「100%の音楽と100%の映像がぶつかり合い、圧倒的な感動で歴史のうねりを伝える」と語る。 (築山栄太郎)
 コンサートの基になったのは、1995年に放送を開始したNHKスペシャル「映像の世紀」。加古が番組の音楽を手がけた。加古の代表作とも言える番組のテーマ曲「パリは燃えているか」は、歴史のうねりをほうふつさせる分散和音に乗せ、誰もが口ずさめる印象的な旋律をピアノで紡ぐ。
 タイトルは、第二次世界大戦でドイツ軍が占領していたパリから退却する際、街を焼き払うよう命じたヒトラーの言葉。加古は自身も長く暮らしたパリを「文化や芸術など、人間の豊かな生活の象徴」と捉え、結果的に焼かれなかったという史実に希望を託した。
 2015年から16年にかけてのNHKスペシャル「新・映像の世紀」では、すさまじい戦争や廃虚などの光景にどんな音楽を重ねるべきか、さらに考えた。「悲惨さや恐怖ではなく、これ以上ないくらい美しく、愛に満ちた音楽を」と書いたのが「愛と憎しみの果てに」。21世紀になっても続く中東の紛争の種が、第一次世界大戦時の大国の思惑によって既にまかれていたことを「神のパッサカリア」という曲で表現した。
 加古は20世紀を「戦争の世紀」と見る一方、機械文明の発展も大きな要素と感じている。「人間がその気になれば、地球を滅ぼすこともできるようになってしまった」と憂う。「シネマトグラフ」は、リズミカルな曲調で機械化を際立たせる一方、どことなく悲しさも感じさせる。
 金融市場に群がる人々を、細かく刻む金管楽器と弦楽器で表現した「マネーは踊る」は、今年NHKで放送されている「映像の世紀バタフライエフェクト」でも頻繁に流れる。
 16年に始まったコンサートでは、そうした曲の数々を、ピアノと管弦楽に編曲。音楽作品として奏で、作品に合うように映像を紹介する。
 東海地方では初開催となる愛知公演は、加古のピアノと、岩村力指揮、中部フィルハーモニー交響楽団の演奏、山根基世・元NHKアナウンサーのナレーションで繰り広げ、中高生394人を先着順で無料招待する。
 加古は「歴史の流れや平和の尊さ、戦争の愚かさは学校で習い、言葉では分かっていると思うが、感受性豊かな時期に、心に直接語り掛けてくるこのコンサートに触れてほしい」と願う。「日本で目の前の生活だけを見ている感覚を超え、自分も地球人の一人だと感じられるんじゃないかな」

 かこ・たかし 作曲家・ピアニスト。1947年、大阪府出身。東京芸術大大学院修了後、パリ国立高等音楽院で現代音楽の巨匠、故オリビエ・メシアンに師事。テレビドラマ「白い巨塔」、映画「阿弥陀堂だより」「峠 最後のサムライ」などの音楽を手がける。「映像の世紀コンサート」は9000~5000円。中高生の無料招待も含め、公演のウェブサイトで受け付けている。(問)東海テレビチケットセンター=電052(951)9104(平日のみ)


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