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鬼門の参院選 政権を左右

2022年7月6日 05時05分 (7月6日 09時58分更新)
過去の国政選挙の裏話を交えながら講演する久米晃さん=5日、金沢市内のホテルで

過去の国政選挙の裏話を交えながら講演する久米晃さん=5日、金沢市内のホテルで

◇元自民党本部事務局長 久米 晃氏 講演要旨

 元自民党本部事務局長の久米晃さんが五日、北陸中日懇話会の七月例会で「選挙の見方、読み方」と題して金沢市内で講演した。十日投開票の参院選について、久米さんは「総裁にとって参院選は鬼門。政権の行方を左右する重要な戦だ」と語った。
 久米さんは選挙後の政局について、岸田文雄首相の支持率や物価対策をはじめ、外交や災害対応などが鍵を握るとし「的確な対応をすれば、黄金の二、三年間は保てる可能性がある」と指摘。各派閥の後継問題も挙げながら「精神的にも、政治学的にも、岸田氏が常に政局の主導権を握るんじゃないか」とも述べた。(田嶋豊)

選挙後 黄金の3年間 岸田氏が握る主導権

 五十七年前、愛知県で選挙の手伝いをした際、重要閣僚を歴任した江崎真澄元衆院議員の秘書から「選挙は人生の縮図」と言われた。事務所を訪れる人の動きや考えを読み解くと、すべての“人種”を見ることができるという意味。また、そこで知り合った人はすべて財産。人脈は最高の財産ということを学んだ。
 衆院選、参院選とそれぞれ十三回ずつ経験した。衆院選は一九九三年を最後に中選挙区制が終わった。リクルート事件をきっかけに党内で政治改革に向けた動きが加速したが、要は問題を制度論にすり替えた。政治改革の大合唱で今の小選挙区制度ができ上がったが本当に良かったという人はほとんどいないと思う。
 政権交代可能な二大政党制をうたい文句に実行したが、日本は欧州や米国のようにイデオロギーに基づいた政党ができていない。日本の場合、地域の代表者を選ぶというのが選挙制度の始まりだった。中選挙区制度の区割りでみると、昔の国や地域、藩を基にしてできている。地域の代表者、人で選ぶ基本的な考えは変わっていない。
 首相の専権事項とされる解散権を巡る動きも多くあった。福田内閣から麻生内閣にバトンタッチしたときに即解散という準備もしていた。「リーマン・ショック」の対応に迫られ、当時選対副委員長をしていた菅義偉元首相が「今解散すれば政権を失う。景気対策をして、それを争点にして闘うべきだ」と反対した。当時集まった執行部全員が賛成し、麻生首相も納得した解散先延ばしだった。菅さんの考えは先の衆院選にも通じる。政治や選挙というのは政策や過去の例ではなく、時々の首相の考え方、心理を読み解くことで先が見通せるもの。政治は政治学でなく、心理学だ。
 今参院選はどうなるか。野党は統一候補を最初から放棄した。自民は前回も、前々回も一人区で十、十一落としているだけに、自民にとってこんなに有り難いことはないはずだ。一人区の勝負が参院選の行方を決するという状況は平成以来変わっておらず、このままいけば岸田政権を維持することになるだろう。
 参院選後は大型の国政選挙がない「黄金の三年間」がやってくると言われるが、本当に続くかは内閣の支持率、これからの物価対策や災害対策などいろんな要素がある。必ずしも安泰の三年間が続くとは思わない方がいい。自民党内だけをみると、二年後の総裁選にどう立ち向かうかだ。諸課題に的確に対応し、支持率が高ければ誰も対抗する人が出ず、そのまま再選するのではないかとみている。
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