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【石川】響け 絵の音楽会 聴覚障害の12歳 あふれる想像

2022年7月5日 05時05分 (7月5日 12時29分更新)
3歳から描いてきた絵の個展を開く辻観誠君=石川県小松市小馬出町で

3歳から描いてきた絵の個展を開く辻観誠君=石川県小松市小馬出町で

  • 3歳から描いてきた絵の個展を開く辻観誠君=石川県小松市小馬出町で
  • 小学4年生で描いた入賞作「音楽室で見た楽器が僕の街をパレードする」=石川県小松市小馬出町で

小松の辻君「ぼくの世界」個展で表現

 石川県小松市稚松小学校六年の辻観誠(かんせい)君(12)が二十三日から、初めてとなる絵の個展を同市宮本三郎美術館のギャラリーカフェ「キャトルセゾン」で開く。生まれつき聴覚障害がある辻君は、訓練でたくさんの楽器や音楽に触れてきた。大好きな音楽、音のあふれる世界を感性豊かに紙上に表現し、家族や友人らに成長の証しとして見てもらう。(井上京佳)
 空間を漂う音楽記号、学校の音楽室を飛び出して街へ繰り出すパレード、銀河系の惑星で開かれるコンサート−。辻君は下書きをせず、油性ペンやボールペンで直接、紙上に想像の世界を広げて描く。演奏する人や観客の表情は細かく描き込む。個展では、市の美術公募展「こまつルネサンス」で入賞した大型作品を中心に十五点ほどを並べる。
 出産予定日の三カ月前に、五五四グラムの超未熟児で生まれた。出産直後は人工呼吸器を付けて保育器の中で過ごし、目や足の手術を繰り返した。大声でも聞こえない高度の難聴が分かったのは体重が二〇〇〇グラムになり、退院するころだった。
 補聴器を着けて音を聞く訓練や、文字を覚えて言葉を理解する訓練を家庭などで繰り返した。母奈穂子さん(45)は「いろんな音を聴かせたい」と、ドラムや木琴、ジャンベなどの楽器に触れさせ、演奏会にも足を運んだ。辻君はビートルズが好きになり、三歳で最初に描いたのはギターの絵。チラシの裏などに熱心に絵を描くようになり、四歳から絵画教室に通っている。
 小学校入学まで続けた訓練のおかげで、学校生活に支障のない言語能力を身に付けた。現在も聴力は変わらず、マスクを着けた人の声など聞き取りづらいことがあるが、補聴器を着けて普通学級で学んでいる。小学校最後の年に、これまで支えてくれた人への感謝を伝えようと、個展を開くことにした。
 個展は「ぼくの世界へようこそ!」と題して三十一日まで開く。成長の足跡をたどれるよう、幼い頃の作品や自宅で描いた漫画の模写なども展示する。
 奈穂子さんは「これまでの訓練を通じて、たくさんの人が関わってくれたからこそ描ける絵だと思う」。会期中はできるだけ来場者に作品を解説したいという辻君は「絵の細かいところまで見てほしい。いろんな人に見に来てもらいたい」と話している。

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