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違和感 命救った献身対応 芦原温泉駅近く 手提げかばん一つの女性  

2022年7月5日 05時05分 (7月5日 10時42分更新)
黒田署長(右)から感謝状を受け取る杉本さん=福井署で

黒田署長(右)から感謝状を受け取る杉本さん=福井署で

福井署 大野の女性に感謝状

 「この辺に泊まるところありますか」。五月二十四日午後八時十分ごろ、JR芦原温泉駅の改札口近く。出張帰りの大野市の会社役員、杉本和歌子さん(50)は声をかけられた。声の主はさっきまで駅構内の観光案内図を熱心に見ていた女性。高校生のようにも見え、荷物は手提げかばん一つだけ。夜遅くの温泉街で女性一人が宿を探すのは変だと思った。この違和感が家出人の迅速な保護につながった。 (曽根智貴)
 近くの比較的安価な宿泊施設に空きがなかったので、杉本さんは福井市内のホテルを予約してあげた。車で送る道中、女性は岐阜県から来たと告げた。杉本さんは娘が岐阜の学校に通っていたことから、岐阜の話題を端緒に身の上話を聞いた。
 二十代であること、仕事を辞めたこと、つらい思いをしたこと−。「東尋坊に行こうと思っていた」と自殺をほのめかす言動もあった。「この子を一人にしてはいけない」。自宅に招き、食事と睡眠をしっかり取ってもらおうと決めた。
 立ち寄った福井市内の商業施設の駐車場で、女性に無事を家族に連絡するよう促した。電話しやすいよう、杉本さんはお手洗いに行くふりをして席を離れ、物陰から見守った。「どこかに行ってしまわないか」と不安もよぎった。
 十五〜二十分後に戻ると、女性が電話をしながら困った様子だった。代わると、電話口に岐阜県警の警察官が女性の親と居合わせていた。警察から「自殺をしようとしている可能性がある」と言われた杉本さんは、指示に従って一一〇番した。駆け付けた福井署員によって女性は保護された。
 福井署は六月三十日、家出人に対し献身的に対応したとして、杉本さんに感謝状を贈った。黒田裕二署長は「他者を思いやる優しい気持ちが今回の行動につながり、尊い命が一つ救われた」と感謝した。「しばらくの間、気持ちがふわふわしていた」と振り返った杉本さん。「彼女には元気でいてほしい」と願っている。

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