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「大気の河」航空機からつかむ 名大など今週にも「線状降水帯」観測

2022年7月4日 05時05分 (7月4日 05時06分更新)

「大気の河」の観測に挑む名古屋大の坪木和久教授。手にしているのは観測装置のドロップゾンデ=名古屋市千種区の同大で

 豪雨を予測するため「大気の河(かわ)」をつかめ−。名古屋大などの研究チームは今月上旬、大気中で水蒸気がどう流れているかを把握するため、航空機での観測に国内で初めて乗り出す。三年前にも計画したが延期になり、念願かなっての観測。チーム代表の坪木和久・名古屋大教授(気象学)は「水蒸気の量や構造を知ることができれば(豪雨災害の原因となる)線状降水帯の予測につなげられる」と期待している。(横井武昭)
 大気の河は、東シナ海と太平洋上で大量の水蒸気が大気中を流れることを指す。九州や西日本に流れ込むと、局地的に大雨をもたらす線状降水帯を生み出す。線状降水帯は二〇一八年の西日本豪雨など災害を招いた。気象庁は六月に発生予測を始めたが、精度は十分でない。
 一方、線状降水帯のもととなる大気の河は、水蒸気の量や構造が正確に分かっていない。そこで、名大や琉球大などは台湾や米国の研究機関と共同研究を開始。今週にも航空機で愛知県豊山町の県営名古屋空港から沖縄県の宮古島まで往復し、東シナ海周辺と太平洋で観測をする。
 大気の河は見えないため、シミュレーションをもとに発生予想空域を飛び、筒状の観測装置ドロップゾンデを五十個投下。湿度や気温、気圧、風向・風速、高度のデータを航空機で受信し、名大を経由しリアルタイムで気象庁と世界中の気象予報機関に送信する。装置の素材は自然分解される。
 坪木教授は「水蒸気の正確な量や高さ方向の分布が分かるので立体的な構造が見えてくる。どのぐらいの水蒸気量が線状降水帯の起きる領域に流れ込むか知ることができ、予測精度を上げる一歩になる」と語る。
 当初、実施を予定していいた一九年七月は、予定していた航空機が使用できなくなり断念した。費用がかかるためチャンスは一回のみ。坪木教授は「やってみないと捉えられるか分からずギャンブルのよう。でも、挑戦しないと道は開けない」と話す。

 線状降水帯 次々と発生した積乱雲が線状に連なり、ほぼ同じ場所に停滞して大雨をもたらす。2000年の東海豪雨の原因になった。気象庁は6月に半日前の発生予測情報の発表を始めたが、予測された地方での的中率は4回に1回程度で精度に課題がある。

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