<現場から> (5)インフラ老朽化 地域ごと柔軟対応を
2022年7月3日 05時05分 (7月3日 11時52分更新)
「道路で水が噴き出している」
名張市東田原の藤岡勉さん(71)が近所の住民の知らせを受け、急いで現場に駆け付けると、水の勢いでひび割れたアスファルトが持ち上げられていた。
年の瀬の夕暮れが迫る昨年十二月七日の午後四時ごろ、地区の区長だった藤岡さんは「えらいことになった」と市に連絡した。
近所では断水や濁水が発生し、入浴や食事に困る家もあった。地区の仲間とともに一人暮らしの高齢者や老人ホームへ水を届けて回った。夜から始まった復旧工事は翌朝まで続き、藤岡さんも「ほっとけへん」と夜通し現場で見守った。
市によると、漏水の原因は水道管のボルトの腐食による破損とみられる。濁水の影響は最大三千五百戸に及んだ。
藤岡さんは「他の地区でも漏水が起き、水道が古くなっていると聞いている。順番に直してもらうしかないが、お金の問題もある。将来の人は大変だ」と不安を拭えずにいる。
名張市では昨年末から今年一月までに、四件の大規模漏水が相次ぎ、それぞれ千〜五千世帯で断水や濁水が起きた。このうち三件は水道管の老朽化が原因とみられている。
市水道工務室によると、法定耐用年数の四十年を超える市内の水道管の割合は二〇二...
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