本文へ移動

故郷を 漁場を 安全を 外交・安保 見えぬ解決

2022年7月1日 05時05分 (7月1日 09時56分更新)
ふるさと、水晶島への思いを詠んだ短歌を手にする吉田義久さん=富山県黒部市で

ふるさと、水晶島への思いを詠んだ短歌を手にする吉田義久さん=富山県黒部市で

 ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射などを受け、外交や安全保障に対する懸念が高まっている。参院選でも主要争点の一つだ。国際情勢に左右される石川、富山両県の人たちの声を聞いた。(松本芳孝、上井啓太郎、久我玲)

◇北方領土 元島民の焦り

 北方領土からの引き揚げ者数が全国で北海道の次に多い富山県。千島歯舞諸島居住者連盟富山支部の前支部長、吉田義久さん(84)=黒部市=は「旧ソ連は一方的に故郷を奪った。ロシアも一緒。故郷は返してほしいが、いつの日になるか」と焦りをみせる。
 コンブ漁をしていた父ら家族六人や雇っていた若者五人と、歯舞群島の水晶島で春から秋まで生活していた。八歳の誕生日の五日後に終戦を迎え島を離れた。黒部に戻った後も、ビザなし交流や歯舞群島への自由訪問の際には「霧間より見え隠れする草原を背伸びしてみる我の住家を」と、望郷の思いを短歌に込めた。
 ロシアは、ウクライナ侵攻に対する日本の制裁措置に反発し、平和条約交渉を中断。交流事業も停止すると一方的に発表した。制裁には肯定的な吉田さん。逆に北方領土に住むロシア人を「日本人が行かないと誰も来ない。世界とつながることができない。かわいそうだ」と思いやった。

◇北・ロシア影響 漁見通せず
 ▽嘆く小木の漁師

 石川県能登町の小木港を拠点とする中型イカ釣り船の多くは、現在能登半島沖など日本海で漁を続けている。昨季、漁獲高の15%強を占めたロシア排他的経済水域(EEZ)での漁は、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁の影響で検査費用などが払えず、見通しが立っていない。
 外国漁船による違法操業は、今季の確認が現時点で近年に比べ少ない。例年、違法操業被害の多い主要漁場の大和堆(たい)で今のところイカの漁獲が少ないためという見方がもっぱらだ。日本海では、北朝鮮のミサイル発射実験も続く。
 県漁協小木支所の白坂武雄参事は「ロシアや北朝鮮の問題は、すぐどうにかするのは難しいと思う」と話す。とはいえ、国の政治に求めることはある。「外国漁船への強い措置(拿捕(だほ)など)や燃油の補助は、首相官邸の判断である程度できるはず。食料自給率を上げていくためにも、漁業が続けられる環境づくりを目指してほしい」

◇小松市民「基地隊員もリスク」
 ▽情勢緊迫の不安

 日本海側で唯一の戦闘機部隊がある石川県小松市の航空自衛隊小松基地。東アジア情勢が緊迫化すれば、前線になることも考えられる。基地友好団体「ハイフライト友の会」の上出雅彦会長(70)=同県能美市=は「後ろに武力があることで外交が成り立つ。防衛力を強化しないから、中国には強く出られず、米国の言いなりになっている」と語気を強める。
 飛行教導群の支援団体「アグレス会」の上田真会長(58)=小松市=もウクライナ情勢に接し、強固な防衛力が不可欠との思いが強い。「基地がある以上、リスクとは隣り合わせ。隊員らが危ない目に遭わないためにも、抑止力となる敵基地攻撃能力(反撃能力)も必要なのでは」と話す。

関連キーワード

おすすめ情報

北陸発の新着

記事一覧