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【北陸図会】『脱炭素推進か』『自然保護か』 風力発電計画急増 割れる賛否

2022年6月30日 05時05分 (6月30日 13時05分更新)
 生物多様性や景観保全のための規制か、温室効果ガス排出量ゼロを目指す「カーボンニュートラル(CN)」推進か−。北陸地域は今、多くの風力発電計画が持ち上がり、建設を巡って賛否が割れている。
 先進国で初めて世界農業遺産に認定され、雄大な自然景観を残す石川県能登地方。かつて生息していたトキの野生放鳥に向けた機運も高まる。トキと共生する里山づくりを進める市民団体「朱鷺棲(す)む里山釶打クラブ」の唐川明史代表(75)は、十基の風車がそびえ立つ七尾市中島町に住む。
 「特に風が強い日は風車の風切り音がうるさい。滝の下にいるよう。景観も損ねる。良いところは何もない」とぼやく唐川さん。「トキがけがでもしたら問題だ。これ以上、風車を建ててどうするのか」と首をかしげた。
 石川県内には現在、七十四基の風車が稼働する。計画中の風車は百七十一基に上り、全て完成・稼働すれば最大出力は現状の約十三万キロワットから一気に約八十二万キロワットまで増える。馳浩知事は二十七日の定例記者会見で「CNの達成が最優先」と風力発電を推進していく考えを強調。一方で「地元合意があってこそだ」とも付け加えた。
 風力発電は、主力の火力や水力に比べれば発電量は遠く及ばないものの、全国的に増加傾向にある。石川県での急増について、金沢大理工研究域の木綿隆弘教授(流体工学)は「能登地方は建物が少なく、地形的にも海側からの風が遮られにくく、風況的に良い環境にある」と指摘する。
 年平均で風速五メートル以上の風が安定的に吹けば採算が取れるという。北陸では福井県も石川県と同様に計画が急増した一方、富山県は能登半島で風が遮られるため、計画はほとんどない。
 岸田政権は、風力発電を含めた再生可能エネルギーの普及を進める一方で、既存の原子力発電所の再稼働も進める方針だ。
 石川県には、現在停止中の北陸電力志賀原発(志賀町)があり、出力は二基で約百九十万キロワット。同県内で稼働・計画中の風力発電の最大出力の二倍超に相当する。北電は2号機の再稼働を目指しており、国の原子力規制委員会で新規制基準の適合審査が続く。規制委が出すことになる敷地内の断層の活動性についての判断が、再稼働の是非を決めるかぎを握る。(小川祥、稲垣達成、長森謙介)

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