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強豪校を断り地元の三重・高田高へ進んだ前出陸杜「もう一度、日本一に」最後のインターハイに挑む【卓球】

2022年6月29日 06時00分

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強力なフォアカウンターを武器にする前出陸杜

強力なフォアカウンターを武器にする前出陸杜

◇「羽ばたけ中部勢」
 卓球男子で三重・高田高3年の前出陸杜(17)は、来月開幕する全国高校総体でシングルス優勝を狙っている。中学2年時に全国制覇し、強豪校から誘いもあったが、三重国体での活躍を期して地元に残った。その国体はコロナ禍のために中止に。自分の選んだ道に悔いを残さないためにも高校最後の夏は「納得のいくプレーをして終えたい」と話す。
 地元愛と卓球愛にあふれている。中学2年の2018年、前出は全日本カデット(14歳以下)で初めての全国制覇を果たした。誘ってくれる県外の強豪校はあったが、地元に残る道を選んだ。
 「小さい頃から高校の時に三重で国体があると聞いていた。地元選手として勝って恩返しがしたいとずっと思っていた」
 国体に向けた強化策の恩恵を受け「さあ、これから」という矢先、腰痛に苦しんだ。世代別日本一の戴冠から1カ月後、疲労骨折が原因の腰椎分離症と診断された。3カ月の安静を強いられ、1年後の中学3年冬に再発した。熱くなる心と体はバラバラだった。
 そんな状況でコロナ禍を迎えた。「元の状態に戻ってきたのは高1の最後ぐらいから」。公式戦はもちろん、対外試合もなくなり、強い相手と球を打ち合う機会が奪われる。拍車を掛けるように三重国体の中止が決まった。
 「勝っている時は地元の星としてチヤホヤされるけど、勝てなくなると『強豪校に行っとけば』などと言われる。しんどい時間を過ごしたので、国体で自分の力を見せたかった。中止は仕方ないと分かっていても、むっちゃ悔しくて」
 ラケットの持ち方は、今では数少ないペンホルダー。現代卓球ではシェークと同じようにラケットの両面にラバーを張るのが主流だ。問題は重さ。指だけで支える持ち方は、子どもには負担が大き過ぎる。ペンの選手が育たないのはトレンドだけではない。道具の影響もある。
 前出は幼少期からラケットを軽くする工夫や、動画を見てのペンの強み、弱点の分析に明け暮れた。「僕は運動神経がいいわけでもない。体も大きくない。卓球が好きなことだけは間違いないけど」。人よりも優れた点を聞くと「特にない」と言うと、しばらく考え込んだ後に返ってきた。
 11月のパリ五輪選考会の出場2枠を争う高校生の予選会を勝ち抜いた。「今はオリンピックを目指すなんて言える立場ではないけど、もう一度、日本一になりたい」。同世代の好敵手と比べたら遠回りしているように見えるかもしれない。それでもいい。自分を信じて最後のインターハイに臨む。
▼前出陸杜(まえで・りくと) 2004年10月5日生まれ、津市出身の17歳。169センチ、60キロ。19年全国中学大会ベスト8、昨年全国高校総体ベスト16。8歳上の兄でペンホルダーの祐杜さんの影響を受け、今年の全日本王者の戸上隼輔(明大)を育てた地元の松生卓球道場に小学1年から通う。祐杜さんは高田高卓球部の監督でもある。

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