スロープレーで罰金を受けたトンプソン、「罰打」でなかったのは選手への警告として正しい選択【武川玲子コラム】
2022年6月28日 17時49分
女子ゴルフのメジャー第3戦、全米女子プロはメリーランド州の名門、コングレッショナルCCで開かれた。最終日は首位で出た韓国の田仁智(チョン・インジ)と米国のスター、レキシー・トンプソンが最後まで白熱した戦いを繰り広げた。
トンプソンは一時、田仁智を逆転し、トップに立った。しかし、終盤に崩れ、1打及ばず2位に終わった。昨年の全米女子オープンでも終盤のショートゲームのミスが響き、笹生優花と畑岡奈紗(アビームコンサルティング)のプレーオフに加われなかった。
1か月ほど前に最愛の祖母を亡くしている。「メジャーだからと入れ込まない」。傷心の身にそう言い聞かせて臨んだ27歳。重圧に崩れた悔しさを隠し、田仁智を祝福した18番グリーンを降りてくると、さらなる過酷な事態が待っていた。
ラウンド中に警告されたスロープレーに対し、競技委員から罰金を言い渡された。通常、これらの処分は公表されないが、トンプソンの父、スコットさんが米メディアに「2000ドル(約27万円)を課せられた」と明かした。トンプソンは言葉を発することなく、ファンにサインをしてコースを去った。
難コースのためかトンプソンに限らず、4日間通じてスロープレーが目立った。第3日の最終組はホールアウトまで5時間45分を要した。放映した米三大ネットワークのNBCは、最後の30分をCNBCに移さざるを得なかった。女子ゴルフがネットワーク(地上波)で放映されることはまれだから、貴重な時間。それゆえに、対応は厳しかったのだろう。
今大会の賞金は昨年から倍増し、優勝者に135万ドル(約1億8200万円)が贈られた。発展する女子ゴルフにスロープレーは大きな妨げとなる。今回は罰打ではなく、試合結果に影響のない「罰金」で対処したことは選手への警告として正しい選択だった。(全米ゴルフ記者協会会員)
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