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30年前の衝撃『名古屋飛ばし』 リニア全線開通その時、悪夢は回避できるのか【企画・NAGOYA発】

2022年6月27日 15時30分

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JR名古屋駅を通過する新幹線のぞみ301号=1992年3月14日

◇第7回「名古屋飛ばし」その3
 今から30年前に「名古屋飛ばし」という俗語がクローズアップされた。1992年3月に東海道新幹線に登場した「のぞみ」の一部列車がJR名古屋駅の停車せず、地元名古屋の政財界やマスコミが大騒ぎした。なぜ名古屋駅をスルーしたのか―。
  ◇  ◇  ◇
 

◆のぞみが止まらない!

 かつてJR名古屋駅に停車しない新幹線「のぞみ」が存在した。それが「名古屋飛ばし」という言葉を増長させることになった。
 92年3月14日に東海道新幹線にひかりよりも格上の「のぞみ」がデビューすることになったが、東京―新大阪間を結ぶ2往復の列車のうち、下りの一番列車「のぞみ301号」が新横浜に停車する代わりに名古屋と京都の2駅を通過するという設定になっていた。
 これに反発したのが地元・名古屋の政財界やマスコミだ。64年に東海道新幹線が開通して以来、名古屋駅をスルーする新幹線はなく、“ナゴヤ軽視"と受け取られたのだ。中日新聞の夕刊でも当日の午前7時39分に名古屋駅西端の下り17番ホームを通過する様子が「初の『通過体験』40秒 名古屋飛ばし」の見出しで報じられた。
 名古屋、京都をスルーした理由についてはさまざまな指摘がある。使用された新幹線300系電車は最高時速270キロで、東京―新大阪を2時間30分で結ぶという触れ込みだった。ところが一番列車については速度を出せない事情があった。
 

◆鉄道専門家が語る背景

 

「鉄おも!」編集長の松沼猛さん

鉄道ジャーナリストで専門誌「鉄おも!」の編集長を務める松沼猛さんは「新幹線は終電から始発の間に保線作業をするが、東海道新幹線の線路にはバラスト(砕石)が敷き詰められ、毎日、必ずどこかでレールやバラストの保守・交換の作業をしている。早朝に通る列車はバラストが安定するまでスピードが出せなかった」という。作業区間は時速170キロで徐行していたとされ、名古屋、京都に停車した場合は2時間30分を超えてしまうという状況にあった。
 名古屋、京都を停車しないのぞみの編成がなくなったのは97年11月29日。松沼さんは「道床安定作業車と呼ばれるバラストを踏み固める車両が本格導入され、徐行する必要がなくなった。この結果、名古屋、京都に停車しても2時間30分を超えなくなった」と解説した。
 東京―新大阪間の所要時間については64年の開業時に最短で4時間を要したが、「N700S」などが運転されている現在では2時間21分に短縮されるまでになった。
 注目されるのは建設工事が進んでいるリニア中央新幹線だ。品川―名古屋間で先行開業され、その後は早ければ2037年に大阪に延伸予定だ。JR東海は品川―名古屋―大阪(新大阪)間の速達列車で最速67分と試算しており、名古屋停車を前提としているようだが、それでも地元から再び「名古屋飛ばし」をされるのでは―と心配する声は少なからずある。

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