戦国時代の城館30余、書籍で紹介 大垣市文化財保護協会が発行
2022年6月26日 06時05分 (6月26日 23時54分更新)
大垣市文化財保護協会は、市内で戦国時代に造られた城や屋敷、とりでを紹介する書籍「大垣の城館めぐり」を発行した。大垣城や墨俣一夜城のように歴史を現代に伝える城館はごく一部で、正確な位置が不明なものも多いが、江戸時代の文献を基に推定した。執筆した協会理事の坂東肇さん(64)は「この地域の誰もが、どこかの城館に関わりがある」と指摘する。 (芝野享平)
取り上げたのは青柳城や三塚城、福田城など、江戸期の書物に記載がある三十余の城館。関連する史料をはじめ、絵図や小字などの地名、発掘調査の成果、昔話などに当たり、城館の歴史やゆかりの人物をまとめた。推定地の現況の写真を載せ、まち歩きのガイドに使えるほか、コラムも二十六編収録し、読み物としても楽しめる。
曽根城や長松城のように関ケ原合戦時の地図に描かれている城館は、位置がほぼ特定され、石碑などが残る。一方、市南西部にあった若森城は、江戸時代の屋敷絵図に描かれた堀の位置から城館の区画を推定。市東部の楽田城については、寺社に近く、周囲よりやや高くなっている一帯を城跡と推測する。
協会は市内の文化財の保護や顕彰、市民文化向上を目的に、一九七二(昭和四十七)年に設立。現在の会員は約三百の個人と団体で、文化財関連の冊子や複製絵図などを毎年度発行している。「城館めぐり」は協会創立五十周年を記念し、協会理事で大垣市史の執筆も手掛けた坂東さんが、市史編集に当たって調査した内容を再構成した。
坂東さんは「史料に残っていてもあまり知られていないもの、史料になくても言い伝えや昔話に残っているものも多く、断片的な情報をつないで記録した。自分たちの住む地域にも城館があったと知り、興味を持ってもらえれば」と期待する。
A5判のオールカラーで二百ページ。協会員に配布するほか、七月一日から市教委文化振興課と市郷土館の窓口で、一部千円で千部を販売する。
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