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元球児 アメフト転向で開花

2022年6月26日 05時05分 (6月26日 11時30分更新)
野球から転向し、日本代表候補になった河上さん=愛知県日進市で

野球から転向し、日本代表候補になった河上さん=愛知県日進市で

1年足らずで日本代表候補

 挑戦に遅すぎることはない 

福井出身の河上さん

 大学卒業と同時に野球からアメリカンフットボールに転向し、一年足らずで日本代表候補に選ばれた選手がいる。福井市出身で社会人Xリーグ・名古屋サイクロンズの河上遼さん(25)=名古屋市北区。高校では甲子園に縁遠く、大学野球ではベンチ入りの機会も限られた。そんな自らの歩みを引き合いに「誰だって何かの可能性を秘めている。挑戦を諦めないで」と呼びかける。 (多園尚樹)
 小学生の頃から野球一筋。科学技術高(福井市)では県大会八強が最高だった。福井工大では「リーグ戦で打席に立ったのは三回くらい」と苦笑する。
 転機が訪れたのは大学三年になった頃。卒業後の進路についてコーチと面談した際、「社会人で野球を続ける選択肢はない」と非情な通告を受けた。同時に「他のスポーツをやってみても面白いんじゃないか」とも。野球で生かし切れていない身体能力に、コーチは可能性を感じていたらしい。
 思わぬ言葉に驚きつつ、しばらく自問した。当時、最高峰の米国プロフットボールリーグNFLのプレー動画を夢中で見ていたこともあり、思い立った。「アメフトやってみようかな」
 素人だが、競技をやらせてもらえませんか−。関西の複数のトップチームにメールを送った。当然、相手にされなかった。「興味があるなら見に来たら」と唯一返答をくれたのが名古屋サイクロンズだった。
 二〇一七(平成二十九)年九月、試合を観戦。選手たちは勤務先がばらばらで、週末に集まって活動する。恵まれた環境とはいえない中で見せるひたむきさに胸を打たれた。加入したいとの意思を伝えると、初心者でも受け入れてくれるという。競技のため就職は愛知県内の会社を探した。中央電気工事(名古屋市中区)の内定を得て一九年春、卒業と同時に正式にチームの一員になった。
 「野球経験があるのなら、ボールを捕るぐらいできるだろ」。小林真樹ヘッドコーチはそんな安直な考えで、司令塔のクオーターバック(QB)から捕球するワイドレシーバー(WR)をさせてみたところ、度肝を抜かれた。「とにかく足が速い。QBのボールが届かないようなところまで走っていっちゃう」
 一九年秋。デビューのシーズンで河上さんは計20回の捕球に成功し、計454ヤードを獲得した。捕球部門では、リーグ1位の外国人選手に次ぐ好成績だった。
 シーズン終了後、日本代表が五年ぶりに結成されることに。応募すると一次試験を突破し、五十五人の日本代表候補に選ばれた。けがもあり二次試験は通らなかったが、大きな自信を得た。
 今秋、四年目のシーズンを迎える。近く、再び日本代表が招集されるうわさもあるといい、河上さんは野心をたぎらせている。「新たな挑戦をするのに、遅すぎるなんてことはない。諦めないことが大切」。日の丸を背負えば、その言葉はさらに説得力を持つ。

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