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【月刊ラモス】今こそ探せ!育てろ! 高さと強さのセンターフォワード、そしてFKのスペシャリスト

2022年6月25日 06時00分

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 日本-ガーナ 後半、相手と競り合う上田(中央)

 日本-ガーナ 後半、相手と競り合う上田(中央)

 7月19日から香港、中国、韓国、日本の4カ国によるE―1サッカー選手権が開幕する。今回の日本代表はW杯未経験のJ1選手で構成され、W杯カタール大会のメンバー入りに向け、最後の選考チャンスとなる。ラモス瑠偉編集長は「Jリーグを盛り上げるためにも、選手には全力でチャレンジしてほしい」とE―1でのサプライズ選出に大きな期待を寄せる。
 6月の国際Aマッチ4試合で、現状の日本代表に足りないものが明確になった。高さと強さを併せ持ったセンターフォワード。アタッカーがスピード系の選手ばかりで、ゴールを背負ってボールをキープする選手がおらず、攻撃がサイド攻撃一辺倒になってしまう。
 そのサイド攻撃も、中央で合わせる選手がいないため、ブロックをきっちりと形成されるとはじき返されてしまう。0―3で大敗したチュニジア戦がそのいい例で、クロスをことごとくはね返され、シュートも枠に飛んでいかない。得点を取るためのオプションとして、相手ゴール前での高さが欠落しているのだ。
 鹿島FWの上田が唯一、その可能性を感じさせるプレーを見せたが、ケガで離脱してしまった。神戸FW大迫もどこまで復調するか分からない。ポストプレーができて、高さのあるCFの層が薄く、現状では本番でもそのタイプの選手が不在となってしまう恐れがある。
 かつて岡田ジャパンは本田圭佑を1トップに据え、W杯南アフリカ大会の1次リーグを突破した。ハリルホジッチ監督も本田を1トップに起用し、W杯アジア最終予選でオーストラリアと引き分けてW杯切符を手にしている。しかし、今の日本代表に本田タイプはいない。
 逆に考えれば、Jリーグの選手にとってはビッグチャンスだ。7月19日からE―1選手権が開幕するが、森保監督はJ1の選手で代表チームを構成することを明言している。上田が筆頭候補であることは間違いないが、それを上回る選手の出現を期待したい。
 ある意味、E―1選手権にはJリーグの未来がかかっている。国内リーグの存在感を示せなければ、日本サッカーの未来は暗い。いい選手が海外に出て行くのは当たり前だが、大事なのはそれに続く選手が次々に登場することだ。
 ブラジルのすごいところは、代表のほとんどが欧州のビッグクラブでプレーしていることもさることながら、それに続く選手が国内リーグで次から次へと輩出され続けていることだ。選手層の厚さとレベルの高さ。ブラジルの国内リーグは競争が激しく、内容も濃い。レベルを高めるためには、国内リーグの活性化が必須なのだ。
 このE―1選手権で1人でも2人でもサプライズ選出されることを期待する。もちろん勝負にもこだわってほしい。優勝を狙うのは当然のこと。優勝して、大いにアピールしてほしい。
 6月の4試合はすべて中3日で行われた。これは本番を想定して組まれたスケジュールだったが、4試合目のチュニジア戦では、4試合すべてにスタメン出場した吉田と遠藤のパフォーマンスが明らかに落ちていた。
 これまで日本は3度、W杯の1次リーグを突破したが、3度ともベスト16、つまり4試合目の壁を破れなかった。2点リードしながら最後にひっくり返された2018年ロシア大会のベルギー戦に象徴されるように、消耗戦の中でどうやって勝ち抜くのか?
 私は1993年のW杯アジア最終予選で中2日、中3日で5試合を戦った経験がある。第5戦のイラク戦でロスタイムに追いつかれ、W杯切符を逃したドーハの悲劇である。あのとき、後半に入ると体がなまりのように重くなり、思うように動かなくなった。特に攻撃から守備への切り替えがきつくなる。もはや自分の体ではないような感覚だった。
 当時は選手層が薄く、同じメンバーで戦い続けるしかなかったが、いまは違う。選手層は圧倒的に厚くなり、2チーム編成しても遜色ない。登録メンバーも26人に増えることが正式に決まった。交代も5人まで認められている。
 いかに選手をやりくりして、パフォーマンスを落とさないように4試合を戦うか。ドイツ戦の結果次第でその後の戦い方は大きく変わってくるが、ベスト8が目標なら、そこまで考える必要がある。積極的な交代でフレッシュな選手を効果的に投入する。スタメンの入れ替えでコンディションのいい選手を起用する。森保監督の手腕の見せどころだ。
 いつのまにか、日本代表にはキックのスペシャリストがいなくなってしまった。中村俊輔、遠藤保仁を筆頭に、日本代表にはFKの名手が必ず名を連ねていた。
 ところが、いまの代表にはFKのスペシャリストがいない。FKだけでなく、CKからの得点もない。吉田、冨安、板倉ら高さのある選手はいる。守りに関しては競り負けることはほとんどない。しかし、攻めに関してはその高さがまったく生かされていない。
 セットプレーは重要な得点源だ。カギはキックの質である。最近の試合を見ていると、久保建がけったり、堂安がけったりといろいろな選手がトライしているが、正直、入る気がしない。CKも同様で、キックの質が低い上に、工夫も少ないから、ゴールにつながらない。
 「白いペレ」と呼ばれたジーコは練習が終わってから1人で黙々とFKの練習を繰り返していた。その精度は10本ければ9本入る―くらいに高いものだった。中村俊輔は木村和司の影響を受け、FKに取り組んでいた。彼らの素晴らしいキックは、努力のたまものである。
 代表合宿でも、居残り練習でキックの精度を高めればいい。反復練習なくして、キックの精度を高めることはできない。指名して徹底的に練習させるのも一つの方法だろう。キッカーの育成は喫緊の課題だ。(元日本代表)

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