<究める> (上)藤井聡太の盤外仕事
2022年6月24日 05時05分 (6月24日 10時21分更新)
王位防衛戦が迫る十八日、藤井聡太(19)は京都市の北野天満宮を訪れた。対局のためではない。ここで叡王戦五番勝負の第五局が指される予定だったが、藤井が全勝して第三局で決着したため、代替イベントが企画されたのだ。
子ども将棋大会。賞状を手渡し、いろいろな質問にも答えた。「負けて悔しいと思うのも大切ですが、将棋を楽しんでください」
昨年豊島将之(32)を王位、叡王、竜王の三タイトル戦で破った藤井は、十九歳で現役棋士の序列一位に。最年少で五冠を達成した。それに伴い、将棋界の顔として盤外での役割も日増しに大きくなっている。
昨夏からはタイトル戦で十三連勝。番勝負は最短での決着が続き、対局が巡ってこなかった場所でもファンサービスを求められる。竜王戦以降に流れた八カ所のうち、七カ所で代替イベントに参加。岡山、鹿児島、新潟と、日本中を駆け回る。北野天満宮もその一つだ。神社の広報担当者は「ご本人にお越しいただいたおかげで、急な大会なのに参加者が抽選になるほど盛り上がった。ぜひまたご縁を」と喜ぶ。
代替イベントは過去にもあったが、藤井ほど毎度の例はない。まだ十代の青年は、将棋普及と地域振興の“公務”に追...
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