演劇「恭しき娼婦」主演の奈緒 差別意識問い掛ける
2022年6月23日 12時08分 (6月23日 12時12分更新)
「触らないで、黒人は好きじゃないんだから」。ブラック・ライブズ・マターをはじめとする差別抗議運動を知る者なら眉をひそめるであろうせりふ。しかしその奥底にある主人公の信念をすくい取り、観客に届けられたら―。演劇「恭しき娼婦」で演じるのは無実の罪で追われる黒人をかばう白人の娼婦リズィー。「一つでも間違った伝わり方をしてしまってはいけない。緊張感がすごくある」と表情を引き締める。(小原健太)
舞台は米国南部の街。名家の白人の男が一人の黒人を殺害するが、居合わせた別の黒人が犯人として追われる。現場を目撃したリズィーはその黒人から無実を証言するよう頼まれて約束するが、街の権力者の息子フレッド(風間俊介)は真犯人の男がいかに素晴らしいかを説き、黒人が犯人だとする偽証を迫ってくる。
リズィーが黒人に「好きじゃない」と告げるのは、味方になると宣言したリズィーに黒人が感極まって近づこうとする場面。「一見、差別じゃないかと思いますよね。でも彼女の中では平等な一言。好き嫌いは誰にでもあるものなので」。どういうことなのかは、リズィーの行動が示してくれる。
白人を見捨てて黒人を助けるのか、牢屋に入れてやるぞ―...
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