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<EYES> 教育哲学者 苫野一徳 給特法 改正は急務

2022年6月23日 05時05分 (6月23日 09時51分更新)
 「教師不足」が深刻だ。文部科学省の調査で、昨年度当初の公立小中高校・特別支援学校の教師不足は2500人超。世界一多忙と言われる日本の教師の窮状に、教師不足が拍車をかけている。
 むろん、教師の多忙が取り沙汰されてからこの数年の間に、働き方改革を成功させた学校は少なくない。業務を大幅に削減し、全員の定時帰宅を可能にした学校もある。それでも、多忙を一つの背景に、うつ病など精神疾患から休職する教師は年5000人に上る。
 教員採用試験の倍率も年々低下し、今や小学校では2.6倍と過去最低だ。背景には、やはり多忙の問題がある。
 抜本的な改革のためには、いわゆる「定額働かせ放題」を可能にしている教職員給与特別措置法(給特法)の改正が急務だ。公立学校の教師は、月給の4%が給与に上乗せされる代わりに、残業代が一切支払われない。そのため、増大する残業に歯止めがかからない構造的な問題を抱えている。インターネット上の署名サイト「Change.org」では、この法律の改正を求める署名活動が行われ、既に約4万筆が集まっている。
 教育の質の低下は、日本社会全体の衰退も同時に意味する。今月、閣議決定した「骨太方針」には「教師不足の解消」も追記されたが、国民的な議論を一層盛り上げたい。22日に公示された参院選もその大事な機会となるだろう。
 これまで私たちは、学校教育は“上”から与えられるもの、という意識を持ちすぎてはこなかっただろうか。しかしそれは大きな誤りだ。自分たちの社会は、自分たちでつくる。従って、学校も。それが民主主義社会の大原則であるからだ。
 教師の負担軽減のため、地域住民が積極的に協力している事例もある。多くの人が当事者として考え、教師不足の解決に向けて動きだすことを願っている。

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