生殖前提、問われる「家族」 同性婚判決
2022年6月21日 05時05分 (6月21日 05時06分更新)
同性婚を認めない民法などの規定について、大阪地裁は「合憲」とした。「子を産み育てる男女」という、生殖能力を持つカップルのみを前提とする判断で、原告らは強く憤る。自治体では代替となるパートナーシップ制度の導入が広がるが、婚姻と比べ得られる権利は限定的だ。性的指向のみならず、家族の在り方自体が問われている。
■多様化
「婚姻の目的を生殖のみに見いだした。極めてずさんな判断だ。到底、受け入れることはできない」。原告側の代理人弁護士は二十日、判決後に大阪市内の弁護士会館で開いた記者会見で、地裁の判断を厳しく批判した。
国は訴訟で、婚姻制度が念頭に置く保護の対象は「子を産み、育てることができる男女だ」と繰り返し主張。地裁も「婚姻」は男女間の関係のみを定めたものだと認定、国の考え方を踏襲した。
だが、同性愛者だからといって子育てができないわけではない。原告の一人でレズビアンの坂田テレサさん(39)の体には、友人の男性から精子提供を受けてもうけた新たな命が宿っている。里親として養子を迎える同性カップルもいる。
家族関係やジェンダー問題に詳しい駒沢大の松信ひろみ教授は、異性愛者の中でもひとり親家庭や子...
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